三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

厳しい女子プロへの道

 今日は成人の日の祝日なので、ラウンドは当初から入れていません。私は基本は平日ゴルファーなので、世の中が休日だったら反対にゴルフはお休みなのです。


 そのため今日もCS放送のゴルフ関連番組を中心に視聴していますが、11時からスカイAで「女子プロゴルファーへの道」という番組を見ていました。
 この番組の内容は、2019年のLPGAプロテストのファイナルにチャレンジする女性たちの様子をドキュメント風に作られたものです。


 当然、プロテストは一発勝負なので、番組側が意図したような展開になるわけでなく、有望選手が通過できなかったりする場合もあり、プロになれるかなれないかのボーダーライン上を巡るたった1打の重みが余計に伝わってきました。


 よく勘違いされるのは、日本ではプロになるにはPGAやLPGAのプロテストを受験し合格しなければならないという誤解ですが、あくまでここでの「プロテスト」とは一般でいえば「入社試験」のようなもので、女子だけでいえばLPGAという団体に所属する技能を持っているかどうかという技能認定試験でしかないのです。


 つまり、プロになりたければ諸外国のように「プロ宣言」すればよく、スコア100叩きであろうとも誰でもなれますが、プロ=ゴルフで生計を立てるという図式にしてみると「プロ宣言」だけではゴルフでの生計維持は難しいという現実があるだけです。


 LPGAの大会(レギュラーツアー・ステップアップツアー)への出場権は、シード選手以外は基本的にQTランキングによるものですが、このQT受験資格が昨年度からLPGA会員に限定されたため、これまで単年度登録でツアーに出場していたシード圏外の選手たちも、プロテストに合格できなければ今年から出場できる試合が無くなってしまうのです。


 その上、今年からプロテストへの受験可能な年齢の引き下げが行われ、高3でも受験が可能になりました。
 つまり、今年のプロテストは有望な若手のアマチュアがこれまでだったら高校卒業以降だったのが、一気に高校3年在学中以上までに膨れ上がり、その上にQT受験資格をとってツアー復帰を目指す実力者や、外国籍のツアー経験者など、これまでのプロテスト以上に大きくレベルが上がっているのです。


 特にアマチュアは、「黄金世代」に続く「プラチナ世代」と呼ばれる、安田祐香・吉田優利・西村優菜・後藤未有・(古江彩佳)・山下美夢有・佐渡山理莉というトップアマが受験することになり、その彼女たちの戦いが番組の骨子になっていました。
 この中で古江彩佳だけが、富士通レディス優勝により最終プロテスト受験前にLPGA会員として認められていて、最終プロテストには出場していませんが、番組の中でそれまでのテストの独特の緊張感などを話しています。


 ゴルフという競技は非情なもので、カップに球が入るか入らないかでその後の人生が大きく変わってしまいます。
 結果的に、西村優菜(-8で2位タイ)・安田祐香(-5で4位タイ)・山下美夢有(-4で6位タイ)・吉田優利(-2で12位タイ)たちは安定感のあるゴルフで合格していますが、後藤未有(+2で22位タイ)・佐渡山理莉(+9で55位タイ)は不合格になっています。


 2019年の合格ラインは∔1だったため、後藤未有は1打及ばず涙を飲んだことになり、厳しい世界だなと実感させられます。


 最終日の様子でも、佐渡山理莉はスコア69だったら希望があったため攻めた結果がToday+5になってしまい、反対に安田祐香は後半になると無理をしないゴルフでToday+1と纏めていました。
 プロテストは、トップ合格だと翌年のレギュラーツアー前半戦の出場資格をゲットできますが、2位以下にはその特典はなく、だからこそトップに届かないと思えばスコアを守ることに集中していたようで、さすが実力者のゴルフでした。


 プロテストで結果を出せる者と出せないものの差は、ほんのわずかの差です。カップに球が転げ落ちるか否かで、その後の運命が大きく変わり、そこにはゴルフ自体の能力とは違った部分もあるのです。


 熊本在住の私には、そのわずかの差が大きな差になったケースを知っています。古閑美保という名前は誰でもが知っている元賞金女王のプロですが、その古閑プロと高校時代に同級生だった紫垣綾花というプロを知っている人はどれだけいるのでしょうか?


 古閑美保と紫垣綾花は同じ熊本の東海第二高校のゴルフ部出身で同級生ですが、ゴルフ部では柴垣が主将を務めていました。
 この時代の東海第二高校には、同級生に後にプロになった成田いづみもいる最強布陣で、全国高校ゴルフ選手権大会で1999年・2000年と連続して団体優勝を果たしています。
 古閑と柴垣の両者が2000年の日本女子アマ決勝で対戦し、柴垣が見事に古閑を下して優勝しています。
 身長167cmの古閑に対し、身長172cmと当時にしては柴垣は大型プレーヤーで、飛距離もある将来有望な女子選手でした。
 この年は、日本ジュニアのタイトルも獲っていて、まさにスター候補生だったのです。


 しかし、翌2001年のプロテストで、古閑が合格したのに対し、柴垣は不合格になってしまい、翌2002年のプロテストで合格したものの、第一線で活躍する古閑をしり目に柴垣は結果を出すことが出来ませんでした。


 唯一、2010年のステップアップツアーのカストロールレディースで優勝を果たし、この年の賞金獲得額が321万円余りとなり、これがプロとしての獲得賞金のすべてになっています。


 いろいろ活躍する要素の違いはあるのでしょうが、少なくてもプロ入り前は将来有望だと思われていたのは柴垣に間違いなく、アマチュアとしての戦績も古閑を大きく凌いでいたのです。


 昨年のプロテストで、1打差で涙を飲んだ後藤未有や遠く及ばなかった佐渡山理莉が今後どう伸びて来年のプロテストでリベンジできるのかも併せ、合格した新米プロたちが今後のツアーでどれだけ活躍できるのかは誰にも分からないのです。
 脚光を浴び続けるかどうかは、本人の持つ実力と共に運の強さもあるのです。


 今年も21人の新人が入ってきましたが、これがプロ野球だとドラフトで入ってきた人数がそのまま戦力外になってしまうのです。(育成枠へ移行もあるが)
 昨年のセカンドQTを突破できなかった小橋絵利子プロは、ますます厳しい状況になってしまいそうで、今年の動向を心配して注目しています。


 ステップアップツアーへの出場権だけでも確保できればよいのですが、例年のプロテスト合格者が参戦してくるのが秋からだったのに対し、今年は初戦から新人20人(トップ合格者はレギュラーツアーへ)がステップアップツアーに参戦することになり、一気にステップアップツアーのレベルが上がることが予想されます。
 ランキング的にも小橋プロの出場枠入りは厳しそうで、今年一年間は浪人生活になるのではと心配しています。