三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

大坂ナオミ「選手」の全米オープン優勝

テニスの全米オープン女子シングルスで大坂ナオミ選手が初優勝を飾りました。優勝賞金は男女同額の4.2億円というもので、テニス界における男女同権の意識を垣間見ることができます。


ゴルフはまだ男女間の賞金には大きな差がありますが、テニスの場合は全米やウインブルドンなどメジャーな大会は同一会場で同一日程で開催されるということから、なぜ男女で賞金額に高低があるの?という素朴な疑問になり、結果的に同一賞金になったようです。


ということは、同じゴルフ場で男女一緒に大会を開くということも、これからのプロゴルフ界の振興のためにはあるのかもしれません。
もちろん、そうなれば出場者数の制限やコースセッティングの違いなど課題も多いのですが、年末に行われる男女にシニアを含めた団体戦のような大会も現にあるように、主催団体の垣根を超えた取り組みも期待されます。


ところで、ちょっと感じたことですが、大坂選手はあくまで「選手」という呼称で呼ばれ、「プロ」との呼称は付きません。
同様に男子の錦織選手も、同様に「プロ」とは呼ばれませんが、2人ともプロであるのは変わりないのです。


それに対して日本でのプロゴルフプレーヤーの場合は、かならず「プロ」を名前にくっ付けて呼ぶのが一般的です。
これは日本のゴルフプレーヤーのうち、JPGA(日本プロゴルフ協会。以下「PGA」と表記する。)やJLPGA(日本女子プロゴルフ協会。以下「LPGA」と表記する。)が開催するプロテストを受けて合格した者だけに「プロ」を付けて呼称している慣例からです。


男子のPGAは「公益社団法人」となっていて、税制上の優遇措置が取られる団体ですが、女子のLPGAは「一般社団法人」という違いがあります。
どちらにしても、その社団法人の会員になるための資格認定試験が「プロテスト」であり、一般的に思われるような「プロフェッショナル」になるための試験ではないのです。


ゴルフ規則を読んでみれば分かりますが、ゴルフ規則上では「アマチュア」の規定だけしかありません。
いわゆるゴルフに関して一定額以上の報酬(賞金やレッスン料に関わらず)を得た者はアマチュア資格を喪失するとあります。


テニスプレーヤーは、自分でプロ宣言をするとプロになれますが、日本国内では稼ぐことは難しく、世界に出るしか賞金プロになる道はありません。
テニスの場合はポイント制のよる世界ランキングで大会優先出場権が決まるため、大きな大会で賞金を得るためには地道に地方の大会に出場してポイントを積み重ね、より大きな大会への出場資格となるポイントを得る努力をするしかないのです。


それに対して、ゴルフの場合は日本国内でのツアーが充実していて、敢えて世界(ゴルフの場合はほとんど米国)に出なくても充分生活できるための賞金が得られる環境です。
この部分がテニスとゴルフの大きな違いになります。


日本で開催されるゴルフの大会は、男子の場合はほとんどが「日本ツアー機構(JGTO)」主催であり、女子の場合は「LPGA」が主催することになります。


男子の場合がプロ選手の団体である「PGA」主催の試合が少なく、ほぼ「JGTO」主催になっているのは、過去の「PGA」における不祥事が絡んでいるのが原因です。


そのため、男子を書きだすとややこしくなるため、ここでは「LPGA」だけを例にとって考えてみます。


「LPGA」主催ということは、一般社団法人である「LPGA」という団体が営業努力してスポンサーを探し、大会を主体的に運営・開催するというものです。
そのため大会に出場できる対象の選手は、いわゆる協会員(LPGA協会員)であり、そのための協会への入会試験が「プロテスト」というもので、プロテストに合格した者を「プロ」と呼称して他の者と区別しているのです。


つまり、本来なら「LPGA」が開催しているため「LPGA」会員だけが出場できるという規定でもよいのですが、将来の協会員育成のために一定のアマチュア枠を設けたり、ゴルフは他国のツアーもあり、有力選手を招いてツアーの活性化のために協会員以外の出場も認めていました。
現在はツアー出場資格を得るための予選会(QT)を毎年開催していて、QTには協会員だけでなく若手のアマチュアや外国の選手も含めて出場しています。


これまで協会員でないQT通過者には「単年度登録」つまり会費を払えば1年間だけ「LPGA」に特例的に登録して出場を認めるという措置があり、多くの有力外国籍選手はこの制度を利用していました。


しかし、現在のツアーを見ると協会員ではない外国からの選手が上位を占めることが常態化しているのは自明の通りです。
ツアーで優勝すれば、実技免除で「LPGA」への入会が認められますが、外国籍の選手はこれまでそれをせず、単年度登録だけの場合がほとんどでした。


この単年度登録制度が、来年度から「単年度のみに限る」という改正が予定されています。
つまり、これまでは単年度登録を毎年行い、ツアーに出場できた選手が会員登録をしなければ次年度からステップアップツアーを含むLPGAツアーに参戦できなくなったのです。


昨年、優勝者の権利を使ってイ・ボミ選手や畑岡奈紗選手がLPGA登録を行ったのは、そういう理由があったためです。


ということは、優勝経験のない外国籍選手やプロテストを通過していない若手選手は、1年限りでしかツアーに参戦できないことになります。
QTを通過しても、その翌年のツアーで優勝という結果を出さなければ、プロテストに合格しなければ翌年以降は出場できないことになりそうです。


この辺りの救済措置は今後図られるかもしれませんが、現状では人気選手がツアーから姿を消すという事態が発生しそうです。


個人的には、単年度登録した選手が例えばシード内(賞金ランキング50位内)に入ることができたら、登録資格を与えるなども一つの案では?と考えていますが、LPGAとしては「プロテスト」を受験して入会する基本を崩したくないようです。


確かにプロテストに合格しても、シード選手以外がツアーの出場権を得るためには、QTにチャレンジ(協会員はセカンドQTから)しなければならず、QT上位を協会員以外が多く占める現状に、協会員から不満が出るのは当たり前です。
しかし「プロフェッショナル」は実力で賞金を得るからプロであり、単なる入会試験に通ったからという理由だけで、大金を得れるものでもないという大前提もあります。


LPGAはこれまで様々な改革を行い、その結果PGAに対して人気の面では上位になりましたが、それでもテレビの視聴率は伸び悩み気味です。
協会という組織を守るか、それともより活性化することで人気を高めるか、来年は女子プロゴルフ界の将来へ向けて、ターニングポイントになる年になるのかもしれません。