三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

映像作成の騙し

 今日の熊本は薄曇りが広がる天気ですが、雨は降らなそうなものの昨日は夕方に激しい夕立があったので今日も同様に夕立があるかもしれず、外に出した洗濯物の取り込み時間には注意が必要になっています。


 さて、私はラウンドに行かない日はYouTubeを毎日のように視聴しますが、そのジャンルは種々雑多になります。


 その中の1つにゴルフ関係があり、レッスン系の動画はよく見るようにしていますが、中には「本当?」と疑問を持つものまであるのは、玉石混交という誰でも発信できるYouTubeというメディアの特徴です。


 もちろん、YouTubeを収益化しているYouTuberにとって、目立つ表題を付けることで視聴者数を増加させることは常套手段であり、ゴルフレッスンに正解は無いことをよいことにして、種々雑多な理論が横行しているのがYouTubeのゴルフレッスン動画の現状です。


 つまり他者と同じことを主張しても多くの中に埋没してしまいますが、真逆の理論を主張すれば目立つのは当然で、それにより視聴者数や登録者数を増やして利益を得るように考えるのは「迷惑系YouTuber」と同じ発想で、少し考えてみれば誰でも分かる当然の方法なのです。


 ただ、真逆のことを主張するのは勝手ですが、それを見たヘボゴルファーが「へ~そうなんだ」と勘違いしてしまうことが罪作りであり、たまたま上手くいった1人が信者となって周囲に広めていくのは新興宗教と同じように迷惑なものだと言えます。


 たまたまYouTubeにあったバンカーショットの打ち方を紹介している動画を視聴しましたが、題名に「誰でも簡単に脱出できる」という趣旨のものが付いていて、バンカーショットに悩む私のようなヘボゴルファーは興味を惹かれることになり、ついつい視聴してしまいました。


 私がこの動画を見て感じたことは、初心者やアベレージゴルファーにとって悪影響のある内容ではと思ったことで、それは簡単に出るわけではなく「正しくダウンスイング」をしなければ脱出できないという前提だからです。


 この動画のバンカーショットの解説では、フェースを開かずに打つという部分が「肝」になりますが、それにはダウンブローに打てることが前提になります。

(左はバンカーからダウンブローに打つとフェースに球が乗っかって球は上がりますが、球を上げようとする意識があると右のように掬い打ちの動きになってトップしてしまいます)


 一般的にバンカーショットでは「フェースを開く」ことが当たり前といわれていて、苦手な人ほどフェースを開くことでトップを多発させてしまいます。
 それは球を上げなければと思う意識が出るためで、そう思うと身体は勝手に反応して掬い打ちしようとするもので、結果は大きくダフるか開いたフェースの刃に当たりトップするかのどちらかになるからです。


 このYouTube動画で提唱するフェースを開かない意味は、この掬い打ちの動きが入ってもフェースを開いていなければトップして刃に当たることもなくダフって脱出できるという意味なのでしょうが、フェースを開かないとますます球が上がらないと思うのは人間の本能として当然になり、ますます掬い打ちの度合いが酷くなってしまいます。


 バンカーショットではPWや9鉄を使う場合もあり、それでもフェースを開くことで問題なく脱出できますし、例えフェースを閉じても球はそこそこ上ってくれるものですが、どんな場合でも掬い打ちは厳禁になります。


 つまり、きちんとダウンブローに打てるかどうかがこのフェースを閉じる打ち方でバンカーから脱出できるかの分かれ道になり、そもそもそのダウンブローの打ち方が出来ない相手にそれを勧めても掬い打ちが酷くなるだけなのです。


 先日は私のフェアウェーバンカーからの打ち方を書きましたが、要はそれと同じことであり、フェアウェーバンカーでもそれなりの高さを出せないと脱出できません。 
 そのためにはロフトのないクラブで払い打ちのイメージでトップ目に打ちますが、その場合でも必ず球にコンタクトした後にクラブフェースは下方の砂のほうへ動くもので、掬い打ちではダフって飛ばないのです。


 ガードバンカーからもフェースを開かずに打つこともありますが、それは特殊な打ち方になり、例えばピンまでの距離がかなり残ってランを多めに出そうとしたり、大目玉のライだったりする状況で球が砂の中に潜り込み脱出優先だと判断する場合に使う打ち方なのです。


 つまり、このYouTubeでは特殊な打ち方を「簡単」と紹介しているもので、それを真に受けて「バンカーショットの簡単な脱出法はフェースを閉じて打つ」ことだと勘違いするのは間違いだということです。


 実際に動画を見てみると不自然な点が見受けられ、一連の動きの中でのショットのようですが、微妙に位置が変わっていることが分かり、編集で違う場面を繋げていることが分かります。

(動画の中の8分19秒時点の場面。「こうしてフェースを閉じて」などと解説しています)

(同じく動画の8分25秒時点の場面。球は脱出に成功し「簡単に出ます」と言っています)


 打つ前に解説をして、続けて実際にバンカーショットを実践する様子ですが、球の位置が違っていて、これは最初の解説後のショットを失敗してしまい、もう一度打ち直しているのではと疑っています。


 「簡単に脱出」と謳っているのだから、少なくともこうした疑問を持つような編集はするべきではなく、失敗したのであればもう一度面倒でも最初の解説から撮り直せばよいのでしょうが、手間を惜しんだため視る側からは要らぬ疑いを持たれてしまうのです。


 逆にいうと「簡単」ではなく、言っている本人が失敗するほどの難易度の高いショットであることの証明で、簡単に脱出などできない打ち方だと言えるものです。
 要は、バンカーから簡単に脱出できるゴルファ-だったら、SWでもPWでも9鉄でも普通に打てるもので、そもそもSWで脱出できないヘボゴルファーにフェースを閉じるような打ち方を説いても、結局は悪いスイングをますます助長させるだけだと私は思っています。