同行者のスコアを記入する行為
もちろんマーカー指定がないコンペなど、スコアを提出しなければならないラウンドでは、同行者のスコアをメモるのは必要だと理解できます。
アテスト時にその同伴者のスコアが分からなければサイン出来ないためです。
ちなみに通常の競技ゴルフではマーカー指定があり、指定された競技者だけのスコアをスコアカードに記入することになり、全員のスコアは書く必要はありません。
競技用のスコアカードにはマーカー指定の競技者分しか記入欄がなく、自分のスコアは裏側を折り返して切り取れる部分に書くのが一般的です。
しかし、コンペなどではなく、そのプレーヤーと握ってもいない、ましてやその時に初めて顔を合わせる初対面者のスコアをいちいち確認してメモることは、その人にとって何のメリットがあるのだろうかといつも不思議に思います。
昨日の同伴者がいちいち確認してスコアを付ける方でした。10番ホールを終わった際にスコアを聞かれ、「私のスコアは記入しなくていいですよ。」と笑顔で言っていたのに、それからもしつこく聞かれたのです。
そのため、「私のスコアを付けなければ、何か不具合でもあるのですか?」と尋ねましたが、「いえ、そんなことはありませんが、付けるのが癖になっているので。」と答えられ、改めて「私は他の方のスコアはいちいち付けないので、私のスコアも書かれなくても大丈夫ですよ。」と告げ、その後はいつものようにホールアウト時点でスコアを申告するだけにしていました。
しかし、その方はそれでもカートに乗っていちいち他の同伴者にスコアを尋ね、私のスコアも「ゆーぽんさんは〇打で、〇〇さんは✖打で、、、。」と口に出して記入されていました。
この方は、時にはトリプルなのにダボと申告され、私は間違っているとすぐ気づきましたが、しばらく頭の中で計算して「トリプルでした。」と訂正されていました。
自分のスコアも管理できないのに、他人のスコアを管理しようなんて本末転倒だと思いましたが、こんな人は案外多いように思います。
ゴルフはいつも良いスコアでホールアウトできるとは限りません。時には大叩きして、落ち込んでいる場合もあり、次のホールに向けて自分の中では気持ちを切り替えようとしている場合もあります。
それなのに、移動中のカート内で他の同伴者の前で「いくつでした?」と聞く行為は、無神経だと私は思います。
知人だけのラウンドで相手と競っていて、どうにかしてライバルを蹴落としたい場合などでは、いわゆる「傷に塩を塗り込む行為」はよくあることです。
これは、親しい間柄だからこそ許される行為ですが、知らない者同士では相手に失礼な行為だと思います。
大叩きした相手には、しばらくそっとしておいてあげるのが、紳士的なふるまいではないでしょうか?
他人のスコアを付ける必要性が全くないにもかかわらず、いちいち記入するのはいわばその人の勝手な行為なのです。
つまり本人だけが自らが自己満足のために、知らない他人を不愉快にさせていることに繋がる行為をしていることは、ゴルフという同伴競技者への配慮が必要なスポーツの本質を逸脱していることだと思います。
ゴルフそのものは、「自然」と自分の中にある「欲」や「恐れ」との戦いなはずです。そこには同伴者が介在してはいけないのですが、実際は同伴者に大きく影響される場合も多いのです。
だからこそゴルフ規則では、他の競技者への影響になるような言動をすることにペナルティーを科すような定めもあるのです。
しかしながら明確にペナルティーにならない、いわゆるマナー違反の行為はよく見受けられます。
〇 他人のティーショットの際に真後ろに位置する。
〇 他人のショットの際に話を止めない。
〇 他人のパットのラインの前後に位置する。
〇 グリーン上で他人のパットの線を踏む。
ゴルフ規則を見てみれば、最初に次のようなことが書かれています。
はじめに
この章ではゴルフゲームはどのようにプレーされるべきかというゴルフのマナーについてのガイドラインを規定しているが、これが守られれば、プレーヤーがみなゴルフを最大限に楽しむことができるだろう。この章全体に通じる基本的な考えは、コース上にいる他の人に対しても常に心をくばるべきということである。
(下線は私が追加しています。)
つまりゴルファーであるからには、同伴者にはもちろんその時にコース内にいる人すべてに配慮する必要があるのです。
大声を出すのは危険防止のために発する「フォア!」の掛け声のみであり、隣接したグリーン上のプレーヤーが驚くような「ナイショっ!」の大声は不要なのです。
その方は、同伴者がミスショットした際にも大声で「ナイショっ!」を連発していて、接待ゴルファー出身なのかなと思ってしまいました。
「1人予約」では様々なゴルファーがいますが、普段は仲間内でのラウンドしか経験がない人ほど、当たり前のマナーが欠落している傾向にあります。
仲間内では許されても、マナー違反だと感じることができないことこそが、そのゴルファーの実力を推し量っています。
技術面だけをいくら練習してもスコアが向上しない人は、マナーをしっかり勉強すれば、スコアが向上するようになるかもしれません。
いままで気づかない自分の無意識な行為が、実は自分のレベルアップを妨げていることになっていることに気付くこともあるはずです。
「逆もまた真なり」という言葉があり、上級者にマナーがしっかりした人が多いことから、マナーを備えたら上級者に近づくという事実もあるのです。
道具に拘るだけでなく、ゴルフ規則を紐解いて「ゴルフの精神」とは何たるかを勉強することも、また上級者へ向う必須の道筋なのだと思います。