パットについての一考察
ゴルファーにはプロフェッショナルとアマチュアの2種類がいます。
一般的には、日本ではプロテストを通ったゴルファーをプロと呼ぶようですが、本来はアマチュアか、もしくはアマ資格を無くしたゴルファーかの2種類であり、アマ資格を無くしたゴルファーの中に、男子だったらJGTOのツアー参戦資格を持ったトーナメントプロやJPGAのティーチングプロ資格を得たいわゆるレッスンプロなどがいます。
勘違いする人が多いのですが、ゴルフ規則上ではあくまでアマチュア資格を定義するためにその例外を示すためのプロフェッショナルがあるのであり、アマ資格を無くしたゴルファーはアマの大会への出場資格がなくなるだけです。
JPGAのプロテストは、あくまでJPGAという任意団体(公益社団法人ですが)への加入資格試験であり、プロテストを通らないとプロを名乗れないわけではありません。
それが証拠にJPGAのプロテストを通ったからと言って、すぐにツアー出場資格を得るわけでなく、反対にJGTOのQTを通過すればプロテストを通過しなくてもツアー参戦が可能になりますし、プロ宣言すれば賞金を得ることもできます。
プロとアマの大きな違いは平均スコアの差ですが、その大きな要因の一つがパットの差ではないかと思います。
もちろん、ショットやアプローチの質も大きく違うのですが、JGTOのデータを見ると平均パットはランキングトップクラスで1.72程度で150位でも1.84という高い数値です。
平均パットとは、パーオンしたホールでのパット数をホールで除したものであり、ツアープロはパーオンしたホールでバーディーを取らなければ勝負にならないことを示しています。
単純計算すると、トップクラスは18ホールすべてパーオンしてバーディーパットを打つとして、31パット程度つまり5バーディーを取っているということになります。
もちろんすべてパーオンはまずあり得ないので、外して寄せ1というリカバリー率の高さもプロの条件です。
ネバーアップ・ネバーイン(Never up never in)という言葉は、カップに届かないと絶対に入らないといういわばゴルフの格言です。
実際に、カップの淵で止まるパットほど悔しいものはなく、なんであと少しヒット出来なかったかと悔やまれます。
プロにとって、「Never up never in」は絶対であり、それだからこそ平均パットはトッププロは1.8を切っているのです。
しかし、アマチュア特にアベレージゴルファーにとってこの「Never up never in」の格言が3パットの温床になっているのではと思います。
もともとアマチュアにとってバーディーパットを打てるシチュエーションは少ないため、その場面ではどうしてもこの格言を思い出し強めに打つ傾向があります。
バーディーパットでなくても、入ればパーという状況でもこの格言は頭をよぎります。
つまり、この格言を知っているからこそ、強めのヒットになりがちで、結果的には3パットの危険性が出てくるのです。
アベレージゴルファーにとって、スコアのロスは10打~20打は許容範囲のはずですが、その中での3パットは余計な1打のロスになります。
そしてそれは避けて通れるロスだと思っています。
ショットミスは、避けようとしても避けられないのがアベレージゴルファーですが、3パットは考え方で減らすことはできるはずです。
それは、パットは常にカップまで距離合わせをするように打つということで、カップに届くか届かないかのジャストタッチを常に心がけ、入ってバーディーやパーなどに関わらず、常にカップ辺りで止まるパットに心がけるように打つべきだということです。
いつもそうやっていれば、距離感も自然と養われてきます。さっき強かったから今度は弱いということは、狙って強く打ちすぎ、次は弱気になるケースなのです。
グリーンのコンディションはゴルフ場によってバラバラですが、少なくともその日のそのゴルフ場のグリーンの速さはほぼ統一されていて、アベレージゴルファーにとってはホールごとの違いが気づけないほどの差です。
上りか下り、フックラインかスライスラインさえ読むことができれば、自分の基準としたパッティングに若干の強弱をつけることで、そうそう3パットの危険性は無くなります。
またパットのラインには「プロライン」と「アマライン」があり、「アマライン」では絶対にカップインしないと言われているため、無理やりプロラインで打つ人もいます。
これも間違いで、アマラインで打てれば次は上りの比較的優しいラインで打てるため2パットで収まる確率は高くなります。
反対にプロラインで外すと、次も難しいラインが残ってしまうことが多いのです。
プロはアンダースコアを出さないと勝てないわけで、Never up never inやプロラインで狙うことは当然です。
しかし、それを全く技量が劣るアマチュアゴルファーそれもアベレージゴルファーが真似することは、百害あって一利なしと言えるのではないでしょうか。
レギュラーティーからスコア80が切れないアベレージゴルファーだったら、ティーショットを300y飛ばすプロのドライバーショットを真似することができないように、パットもプロの真似をせず、アマラインとカップまでの距離を打つパットに徹すべきではと思います。
常にカップまでの距離を打つことを心がけていると、毎回がパターの練習にもなり、距離感も自然と良くなってくるはずです。
変な欲を出さず、そのグリーンに合ったカップまでの距離を打つことだけに神経を使う方が、安定したパット数になることに繋がります。
この考えではカップまで届かないパットを量産することになるかもしれません。
しかしミスした結果、ボギーオンして3パットのおまけ付きのダボは誰でも経験しているはずです。
謙虚に、2パットを狙って行けばボギーで収まるわけで、ボギーであればアベレージゴルファーであれば全く問題ないスコアになります。
ショットはプロのように打てないけど、パットは誰でもプロ気分で打つことはできます。
しかし、それがプロの真似をして結果的に難しいパットを誘発してしまうのではないのでしょうか?
カップまでの距離合わせのパットであっても、転がりが良ければカップインすることもあるし、結果入らなくても次は簡単なパットが残ります。
プロの真似をせず、アマチュアはアマチュアのパットに心がけることが、結局はスコアの大きなロスを防ぐことに繋がるのではないでしょうか。