ゴルフはなぜ形だけに拘る?
ゴルフは様々な理論があるスポーツのようです。私は、以前は卓球やテニスをやっていましたが、少なくとも卓球やテニスにはゴルフのようなスイング理論はありませんでした。
もちろん、その時々のトッププロの打ち方を特集する専門誌の記事はありますが、ゴルフのような型にはめたスイング理論はなく、球に回転をかけることが出来ればフォームにはそこまで拘らないものです。
例えば卓球をとってみれば、基本的に球の回転は順回転・逆回転・横回転(横と順や逆との複合はある)・無回転しかなく、その回転量はラケットの面の向きとスイングスピードを変えることで作り出します。
(ドライブを打つ際のラケット面の向きとスイングの方向。打球方向は右です)
(上のドライブの打ち方を真逆にするとカットの打ち方になります。打球方向は左です)
順回転(ドライブ)を打つためには、ラケット面を球が順回転させるような方向へスイングするしかなく、逆回転(カット)の打ち方では順回転の球は打てないことになり、フォームは問わずラケット面をドライブをかける方向に打ち出す必要があるだけです。
これはピンポン玉が回転をかけ易いという特徴があるためで、卓球という競技が球の回転を自分のものにできたほうが有利というゲーム性に繋がります。
テニスは卓球ほどに球に多くの回転をかけることは難しいのですが、それでも逆回転のスライスや順回転のトップスピンなどを打ち分けることは同じで、その際もラケット面とスイングの方向で意図した回転をかけることになり、卓球同様にスライスを打つ際にはラケット面を順回転方向に向けることはあり得ません。
卓球(テニス)に限らず、用具を使って球を打つ競技は、意図する結果が出れば問題はなく、様々なフォームの選手が存在しますが、基本的にカットマン(スライス打ち)はラケットを上から下へ、ドライブマン(トップスピン打ち)はラケットを下から上に振り上げることだけが共通なのです。
ゴルフも本来は同じであり、意図するショットができればフォームは問題ないはずですが、なぜかゴルフは形に拘る傾向が高いようです。
それはなぜかというと、卓球などの競技のスイングフォームは自由度が高いのに比べ、ゴルフのスイングでは大きな違いをやりたくてもできないからです。
バックスイングでヘッドを後方に動かし、切り返し後にヘッドが球に向かい、インパクトで球を捉え、フォローで飛ばすゴルフスイングの動きは他に変えようになく、卓球などのようにフォローとは真逆の動きで球を打つことができないという特性があるためです。
つまり嫌でも誰もが同様なフォームにならざるを得ず、だからそこにスイング理論なる様々な勝手な意見が出てくるのだと思っています。
他の競技を経験したことのある方は理解できると思いますが、打つこと(ショット)は基本であり、試合ではどうやって相手を崩すような戦略を組み立てるかという方が大事ですが、ゴルフではなぜか基本だけで留まっているゴルファーが多いように感じます。
他の競技での戦略をゴルフでいえば「マネジメント」というべきものが該当するのでしょうが、こうしたマネジメント無しにラウンドをすること自体が問題だということです。
マネジメントには「コースマネジメント」や「リスクマネジメント」がありますが、一般的な意味での「マネジメント」とは違い、1人でプレーするゴルフでは自分で自分自身のことを知って、よりよい結果(好スコア)を出す方法を考え実行するものです。
自分のクラブごとの飛距離を知っていないとコースで狙う場所を決められませし、そのクラブの成功率を知っておかなければ、そのクラブを使用するかどうかの判断も出来ないものです。
自分のショットの傾向が右に曲がるのか左に曲がるのかも、当然に知っておくべきです。
そうした自分自身のことを理解したうえでのコースマネジメントでは、ティーイングエリアでのクラブ選択や狙う方向を定めることがまず第一歩で、2打目以降も同様に考えることになります。
ミスショットが出たりトラブルになった場合は、自分の技術レベルを基にスコアロスを最小限にしてホールアウトする方法を考えることになります。
間違っても「願望」の下に次のショットを選択してはならないのは当然ですが、スコアを纏める力がないゴルファーほど、この「願望」に支配されたクラブ選択をしてしまいがちです。
プロのようなショットに憧れて練習するのは自由ですが、そのショットの成功率をしっかり把握していないと、コースで「願望」を優先しがちになり、結果的には1打で済むスコアロスが2打・3打と大きくなるのは、誰でも経験のあるはずです。
ゴルフは「頭を使うスポーツ」であり、こうしたマネジメントなしにラウンドに挑むこと自体がそもそも無謀な行為だといえるのです。