三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

男子マラソンを見て思う

 今日も熊本は朝から晴で、気温もそこまで下がらず日中は15℃ほどと過ごしやすい一日になりました。


 冬の風物詩がマラソンのTV中継ですが、今日は午前中に防府読売マラソンがあり、午後からは福岡国際マラソンの中継があっています。
 防府読売マラソンでは、ベテランの川内優輝が2時間8分32秒で5度目のマラソン優勝を果たしました。

(この画像はPower DirectorのAI生成を使って作った画像です。意味不明な文字になっていますが、AIへの指示は「トップを争う2人のマラソン男子選手」的なことを入力しました)


 私の感覚では、男子マラソンの8分台は一流選手の証だと思っていましたが、日本記録を調べてみると既に2時間4分56秒(鈴木健吾:2021年びわ湖毎日マラソン)と5分の壁を破っていて、今回の川内優輝の記録は、1983年の東京国際マラソンで瀬古利彦が出した2時間8分38秒と同レベルであり、40年前だったら一躍ヒーローだったのにと思ってしまいます。


 なぜ私の感覚が40年間も遅れていたかというと、その当時は宗兄弟・瀬古・中山竹通など世界で活躍していた選手が多かったものの、1986年の北京マラソンで児玉泰介が出した2時間7分35秒の日本記録がその後13年間も破られなかった暗黒時代があったのです。


 記録が出ないということはヒーローもいなかったということで、私の中ではマラソンへの興味が世間同様に低くなり、都道府県対抗女子駅伝や高校駅伝に興味が移ってしまいました。
 13年間破られなかった児玉泰介の日本記録を破ったのが、1999年のベルリンマラソンで出した2時間6分57秒という犬伏孝行の記録ですが、マラソン自体に興味が無くなっていた私には、失礼ながらこの犬伏選手の顔が浮かぶところか名前さえ知らなかったのです。


 翌2000年に福岡国際で藤田敦史が2時間6分51秒で日本記録を更新し、2002年にはシカゴマラソンで高岡寿成が2時間6分16秒で記録更新していますが、高岡選手の名前だけは何となく記憶にある程度で、やはりマラソン自体に興味が無かったことが分かります。


 本来はここで再び40年前のように男子マラソンに興味を戻るはずでしたが、やっと記録が更新される時期になったはずなのに、なんとこの後にまた16年間という長い空白の時間が生まれてしまいます。


 たぶん、世の中も私同様に男子マラソンに興味が無くなり、マラソンといえば女子マラソンという昨今のプロゴルフ界と同様な流れになっていたはずです。


 女子では、2000年に高橋尚子がシドニーオリンピックで2時間23分14秒の五輪最高記録で圧勝し、一躍時の人になっています。
 高橋は翌2001年に、ベルリンマラソンで2時間19分46秒の当時の女子マラソン世界最高記録を出して女性ランナーとして世界で初めて2時間20分を突破しました。


 また2004年のアテネオリンピックでは野口みずきが2時間26分20秒で優勝と、マラソンの話題は完全に女子に変わってしまい、男子が2018年まで記録更新できていない中でマラソンといえば女子という図式になってしまいます。


 こうして振り返れば、日本のプロゴルフ界と同様な流れであり、ANOの時代から人気が高かった男子プロゴルフ界は、その後も次々にスター選手が生まれました。
 その筆頭ともいえるのが、2007年に行われたマンシングウェアオープン KSBカップにアマチュア枠でツアー初出場した石川遼で、この試合で史上最年少優勝を果たしたことで人気が沸騰しましたが、その後の男子プロゴルフ界はスター選手の不在という状況に陥り、バブル崩壊も手伝って徐々にジリ貧に陥ってしまいます。


 女子プロは隆盛の男子プロの陰に隠れて長年日が当たらない存在でしたが、それを打破したのが2003年9月に行われたミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントに高校3年生のアマチュアとして出場し優勝した宮里藍で、彼女のおかげで一気に女子プロゴルフに脚光が浴びるようになり、その後の彼女に憧れた若手の参入でスターが次々と生まれて、あっという間に男子と立場を逆転してしまいます。

(これもAIが作成した画像。指示通りに作ってくれず、使えるのはこれくらいでした)


 宮里藍は、2005年に行われたワールドカップ女子ゴルフで北田瑠衣とペアを組んで優勝し、2006年からアメリカツアーに専念しましたが、宮里藍がいなくなっても彼女に憧れた若手が次々に参戦するという女子プロゴルフ界は好循環の流れに入りました。


 なぜ男子プロと女子プロの人気が逆転したかを考えてみると、石川遼はアメリカツアーに参戦しましたが結果が出せず、対して宮里藍はアメリカツアーで結果を出したため、世間の認識が女子は世界に通用しても男子は通用しないことが分かってしまったことです。
 これはマラソンと同じことであり、結局は世間の目は世界で戦って勝利することを求めているのです。


 昨今はネットや有料テレビで世界のレベルの高い中継はいくらでも見ることができ、以前は国内で威張っていても許されたことが、世界では通用しない男子ゴルフのレベルを知っている視聴者からは逆に鼻白むようになっただけということです。


 昨年は世界に出て行った男子選手を(その行った経緯は別として)寄ってたかって非難するような風潮があったのも事実で、国内男子プロゴルフ界が未だに井の中の蛙状態であることを露呈しています。
 対して女子ゴルフ界は、多数の人気選手がアメリカツアーに挑戦している状況で、やはりスポーツは世界に通用しないレベルでは話にならないのです。


 これは女子プロも同様であり、現在は世界に挑戦する女子プロが多いからまだ人気を保っていますが、これが国内だけでいいという考えになってしまえば男子プロの二の舞になるだけです。
 アメリカツアーで活躍しているのは男子プロでは国内ツアー出身でない松山英樹くらいという状況も寂しいもので、その点からいっても今年欧州ツアーの最終戦で優勝した21歳の久常涼のような選手がもっとたくさん出てくることを期待しています。


 プロスポーツは勝利が求められるもので、高度な技術と併せてチャレンジ精神が無ければ、すぐに世間の目は離れてしまうシビアな世界なのです。