三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

HDCPを目標にした愚かな過去

 今日の熊本は午前中は雲が多い冬空が広がっていて、気温はやっと二桁に届くほどですが、ほんの2週間前頃には夏日が続き、短パン半袖で充分だったことを考えると、ジェットコースターのように夏から一気に冬に突入した感があります。


 さて、私は以前はとにかくショットの飛距離だけは出るゴルファーで、ゴルフに重要な確実性は今でもそうですが、当時はかなり劣るものでした。


 ホ-ムのゴルフ場は全長7100y弱のコースで、1番パー4は打ち下ろしですが410yほどを5Wでティーショットし9鉄でグリーンに届いていましたが、研修会などで同伴者の5下などから「馬鹿みたいに飛ばす奴だけど、、、」という今思えばありがたくない評価をされていて、「あなたの飛距離なら私だったらアンダーで回れる」とよく言われたものです。


 ある年末の研修会打ち上げの席で、当時親しくしていたシングルの方から「HDCP10なんてゴミのようなものだ。掃いて捨てるほどいる。悔しかったら「9」になってみろ!」と活を入れられたこともありました。
 そのため、私は翌年にシングル入りすることを目標にして達成しましたが、それが今思えば失敗の始まりでした。


 20年ほど前のシングル入りした際は、好調だったら80切りのスコアも出ていましたが、当時の平均スコアはやっと「85」が切れる84台だったのです。
 それでもシングルになれたのは当時の規定ではHDCP10の者が3か月以内にメンバー競技で3枚の70台のスコア提出という条件をクリアできたからで、好スコアとそうでないスコアの差が大きかったことが分かります。


 当時は、いったんシングルになった者は本人が希望しない限りどんなにスコアを出せなくなっても「9」で留め置いてくれる慣例があり、実際に90前後のスコアしか出せなくなったシングルが周りに多くいて、HDCP10の頃の私はそのシステムにかなり不満を持っていました。


 しかし、実際に「9」になるとシングルの重圧を感じ始めます。それはメンバー競技で初見の方と一緒になり、昼食時の話題で何気なくHDCPを聞かれ「9」だと答えると相手がビックリして前半とはまるで違った態度になるという経験をして、「そんな風にみられているんだ」と自覚していったためで、あるときから徐々に自信を失っていきました。
 それなのにHDCPは自信喪失とは裏腹に「8」になり「7」となって、ますます重圧がかかって行きました。


 当時もゴルフ関係のブログを書いていて、その名は「シングルへの道」と銘打ってスコアを公開していましたが、目標達成後は徐々にブログを書くことにも重圧を感じ始め、それはシングルになってからの平均スコアがHDCP10の頃とほとんど変わらなかったためです。


 実際に当時の平均スコアは84台のままで、せいぜいコンマ1~2程度の違いでした。


 今思えば、その頃も年間100ラウンド近く行っていたため平均スコアを「1」上げることの大変さが分かりますが、当時は自分にはシングルの実力がないと自覚していて、知らない相手からHDCPを尋ねられることに恐怖さえ覚えていたものです。
 そのため、だんだんとメンバーコースに行くことも減り、そのうちにゴルフそのものもプレーしなくなりました。


 2つのコースのメンバーになっていましたが、5年ほど年会費を払わなかったため、1つのコースは退会になっていて、会員権のあるコースだけは現在は当年分だけは支払っていますが、未納分10万円ほどは残ったままです。


 過去にゴルフから遠ざかったのは仕事が忙しくなったこともありますが、ゴルフが楽しくなかったことも大きな理由です。
 それはHDCPに見合ったスコアを出さなければならないという強迫観念が強く、本来はプレーを楽しむはずのゴルフが、単にスコアを作ることだけが目的になったためです。


 そんなゴルフなので目標のスコアにも届かないことが圧倒的に多く、ゴルフ自体を楽しめないのに目的も達成できないことが多くなると、ラウンドすること自体が苦痛になっていっきました。


 それまではわずかな暇を見つけてラウンドしていましたが、楽しくなければゴルフに行こうという気にもならず、50歳代のほぼ10年間はゴルフから遠ざかっていたのですが、今思えば勿体ない時期でした。


 60歳を過ぎて退職後に「何か趣味を」と探し、それまでやっていた多くの「遊び」の中から再びゴルフを選びましたが、以前と同様な気持ち、つまりHDCPを目標とするようなゴルフから抜けきれず、復帰当初は仮HDCPが2桁だったので気楽だったものの、徐々に少なくなって5台までなるとまたラウンドが苦痛になるという以前と同様な状況になってしまいます。


 そんな中で1人予約で知り合ったのが「アプローチの達人」でした。当初はアプローチが重圧で打てなくなったことから教えてもらおうといろいろ相談していましたが、徐々に達人が仙人のような気持ちでゴルフをしていることに気づきます。


 「単なる遊び」とか「暇つぶし」「健康のため」など目標がスコアではなく、ゴルフはあくまでも目的達成のための道具で、ゴルフ以外の別なもので代用できるのであればそれでも構わない的な姿勢に当初は驚いたものです。


 私は今でもゴルフはスコアを作るものという意識が残っていますが、以前のようにそこまでスコアに拘らなくなったのは達人の影響が多く、「どうせ遊びだから」という部分が徐々に大きくなってきました。


 不思議なことに、スコアに拘っていた頃は平均スコアは伸びなかったのですが、拘らなくなると逆にスコアが良くなっていったのが皮肉で、いかにゴルフが精神的な部分の影響が大きいかが分かります。


 達人と2人だけでラウンドするようになって、お互いにバーディー数を相手より上回ることだけがラウンドの唯一の目標になっていますが、だからといって握っているわけとかでもなく、単に自然発生的にそこだけが競争する部分なのです。


 世の中のゴルファーは「シングル」入りを目標にしている人も多いのでしょうが、逆にシングル入りした人は、その後に迷いや苦悩はないのでしょうか?


 もっとも今のHDCP自体がスコアが出なければ大きくなるシステムなので、以前のように実力に見合わないHDCPにはならないから、私のように悩むことはないのかもしれません。


 それでも「シングル」の人から苦労や悩みの声をあまり聞かないのは、それだけメンタルが強いのか、はたまた細かいことに無頓着だからなのかでしょうが、全てがそうではないはずです。


 ネットで「シングルゴルファーの悩み」などと検索してもヒットするものはなく、ほぼ全てが「シングルゴルファー」になるための嘘っぽい方法論だけです。
 「シングルゴルファー」になることで幸せになれるとは限らず、90を切るか切れるかというレベルの時期が本当はゴルフが一番楽しい頃だと気付くのは、私だけなのでしょうか?