三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

記憶は考えるから蓄えられるもの

 今日の熊本は朝から強風で、ときどき雨が降る蒸し暑い日になっていますが、阿蘇ハイランドの1人予約は雨予報のため誰も入って来ず流れています。


 次のラウンドは月曜日の1人予約でしたが、こちらは顔見知りの1人予約常連さんとずっと2人だけだったものの「トミーさん」が3人目に入って来たため、lineで断りを入れキャンセルしています。
 理由は、島原の温泉に長崎の県民割を使って行こうと思ったためで、最近はラウンドより温泉の方に比重が傾いてしまっているのが現実です。


 さて、ネットの記事に「なぜプロ棋士は対局後の感想戦で棋譜を完璧に覚えているのか」というものがあり、将棋の話題だと勘違いし、つい読んでしまいました。


 実際の記事の中身は将棋の話ではなく、入社したての新入社員に向けてのアドバイス的な内容で、要は「経験」と「知識」を増やすことで情報を「符号化」して圧縮し、「外部記憶補助」として活用するような内容でした。


 それに対するコメント数はそう多くはありませんでしたが、ほとんどは棋士でなくてもアマチュア有段者であれば、感想戦(その対局を並べ直す対局者同士の反省会)くらいは出来るという意見で、棋士の凄さはその程度ではないというものがほとんどでした。


 確かに棋士は自分の対局だけでなく、過去から昨日までの他者の対局を調べて頭の中に入れているもので、いわば情報戦でもあり、どの場面でどの手を指し、結果はどうなったという知識がなければ勝つことは難しいものです。


 そうした圧倒的な情報量があっても、当然ですが未知の局面は必ず現れ、そこでどう指すかという研究を怠らないのが棋士の棋士たる所以です。
 その中でもトップに君臨する棋士は、他の棋士が見込みなしと諦めた手筋の中に隠された攻め筋を発見するもので、藤井五冠の「神の手」と称される一手に解説の棋士が驚くことがそれを証明しています。
 
 この辺りはAIを駆使して研究する最近の棋士の傾向であり、これまでの永年の経験によって蓄えられた裏付けでなく、AIが正解へ導く細い道、それはわずかでも踏み外せば奈落の底に落ちる道ですが、そうした神の一手を探求するのがトップに君臨するための条件になっています。


 そのコメントの中に「ゴルフだって上手くなると今日1日のショットを全部覚えてる」というものがありました。
 将棋は相手の指し手を含め、勝負が付くのは100手前後ですが、ゴルフも上級者は7~80打でアベレージゴルファーでも100打前後です。


 しかもゴルフは18ホールという全く1ホール毎に別物になる展開であり、1番ホールのミスが2番ホールに繰り越されることはなく、1番のプレーはオールクリアされて2番のプレーが始まるもので、記憶の面から言えば将棋の棋譜を覚えるより簡単なはずです。


 ティーイングエリアでティーアップし、まずどこを狙ってどんな球を打つかイメージしていれば、記憶に残り易いもので、プレーしたばかりのホールのスコアさえ分からなくなるのは、1打ごとに「イメージする」という記憶に残る行為をしていない証拠だといえます。


 もちろん私もそうした時期があり、初ラウンドの際はただ前に進むことしか頭の中にはありませんでした。
 あるのは、目に入る目標のグリーンだけで、とにかく少しでも近づけようと思ってクラブを振り回すだけで、そこには「考える」という記憶に残る行為はなかったのです。


 単に目標のグリーンしか見ていないから、コースの形状も危険な場所の把握さえもしていないもので、だからラウンド後のスコアはもちろんどんなコースだったかも記憶に残らなかったのです。


 ただそうした中でも、記憶に残っているものがあり、私の場合はナイスショットした1つのホールとロングパットが入った1つのグリーンでした。
 つまり、これがネット記事の「外部記憶補助」になるためのもので、ゴルフの場合は大叩きしたホールやバーディーを取ったホールがそうなりがちです。


 通常とは違う経験をしたからその記憶が鮮明に残るもので、アベレージゴルファーはほぼこのレベルで止まってしまいます。
 しかし、上級者になるほど自分の1プレーをしっかり記憶できているのは、その場面でどんなイメージをして結果がどうであったかを頭に刻んでいるためで、イメージどおりに打てた嬉しさ、イメージとは違った悔しさがネット記事にある「符号」というべきものになっているのでしょう。


 私はゴルフを本格的に始めてすぐ虜になり、「上手くなりたい=スコアを減らしたい」と思いましたが、できれば簡単な方法でそうなりたいと考えました。
 その方法はいくつかありますが、私が考えた1つが「上級者はそのラウンドを終わって振り返られる」という部分で、自分は覚えていないのに一緒に回ったコーチは私のプレーでさえも覚えていたことがきっかけでした。


 「逆もまた真なり」という言葉がありますが、「上級者=記憶力ある」だったら「記憶力ある=上級者」という図式も成り立つと考えたのです。
 当時のコーチにどうすれば記憶力がよくなるか尋ねたら、答えは「自分のプレーを覚えられないならメモを取れ。他人のスコアなど書かず使ったクラブや結果を書くように」とアドバイスされました。

(スコアカードの利用法の一例。ラウンド後に見返して、思い出せるような書き方をするほうが記憶には残りやすいものです)


 これと同じようなことをプロからも聞いたことがあり、プロはスコアカードのスコアを記入する欄が4人分あるため、3つの欄に1打目から3打目まで使ったクラブと結果をそれぞれ記入し、4つ目の欄はグリーンとみなして、ピン位置とパットのラインを書いておくと後で思い出しやすいと言っていて、なるほどと納得し、上の記入例に取り入れています。


 他人のスコアは、ホールアウト後にスコア申告する声を聴いていれば分かるもので、そのうちに聞かなくても同伴者のスコアを分かるようになったのは、自分のスコアをメモしなくても振り返られるようになってからです。


 ただ、大事なことは書きっぱなしにしないことで、私がラウンド後にこの日記にスコアをアップしているのは、将棋でいえば感想戦と同じ位置づけだというものです。
 将棋の感想戦では、どの局面で判断を間違ったのか、対局相手の意見を聞きながら進め、自分の主張と相手の主張のせめぎ合いの中で、最善の一手を導き出すのが目的です。


 この局面で、この手を選択していたら結果は勝ちということも多く、人間はAIとは違って間違えるもので、それはその時の心理状態に大きく作用されてしまいます。


 ゴルフも状況に応じた心理状態は大きく違い、調子が良ければ乗って行けるものの、いったん躓くとそこからの立て直しが急務になります。
 しかし、反省をしっかりしていれば「そんなこともある」程度に受け流すことで気分転換することも可能になります。


 打ちっ放しでのショット練習だけが練習ではなく、こうした自分が陥りやすい心理状況を把握することで、安定したスコアを作る術もあるのです。