三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

1手詰め

 今日は阿蘇大津GCの1人予約が成立せず、ラウンドは無しになっていますが、熊本は冬特有のどんよりした雲が広がり、太陽が見えず寒い日になったため、8時スタート予定のラウンドでは誰も入って来ないのは納得です。
 私も、こんな寒い日は無理して行かなくてよいと思っているほどで、徐々にゴルフ熱も無くなって行くのは仕方ないことです。


 さて、最近はゴルフだけの話題ではネタに困り、将棋について取り上げてみます。


 今日はちょうど藤井竜王(王位・叡王・棋聖)が順位戦のB級1組で千田翔太七段と対戦中で、ABEMAによるネット中継を見ながら日記を書いています。
 現在のB級1組は藤井竜王が9勝1敗で単独トップの位置にいて、佐々木勇気七段が2敗で続いている状況です。
 B級1組には13人が在籍し、上位2位までが来季のA級に昇級しますが、今日は抜け番の1人を除く12人が一斉に対局している日になっています。


 もし、藤井竜王が勝利し、佐々木七段と三番手の稲葉陽八段(3敗)が敗れると、2局を残して藤井竜王の1期抜けでのA級昇格が決まりますが、現在は29手目の序盤でほぼ互角の展開になっています。


 順位戦は「名人」というタイトルへの挑戦権を争うリーグですが、挑戦者はA級リーグの1位者になるため、実力的にトップの位置にいる藤井竜王でも、今年はまずB級を抜けてA級への昇級が目標で、来季のA級リーグで1位にならないと名人への挑戦権がないものです。


 現在の名人位に就くのは渡辺明名人で、この渡辺名人(3冠)と藤井竜王(4冠)のタイトル保持者が激突しているのが、第71期王将戦です。


 渡辺王将に藤井竜王が挑戦する第一局が、1月9・10日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で行われ、藤井竜王が139手で渡辺王将に勝利して開幕戦を制しました。


 王将戦はABEMAによるネット中継がなかったものの、たまたま「将棋チャンネル」がJ-COMの契約の中にあったため、ライブで10日の午後から視聴していました。
 私はまさしく「観る将」(将棋を指さない観て楽しむファン)ですが、若い頃は良く将棋が好きで指していて、駒の動かし方くらいは分かるものです。


 当時は「定跡」などの本を買ったりして少しだけ勉強もしましたが、全く棋力は上がらず、しばらくハマっていたコンピューター将棋も現在は止めてしまっています。


 こんなへぼ将棋の私が、王将戦の中継を見ていて、唯一、次の一手が正解した瞬間がありました。 
 偶々でも藤井竜王と同じ発想だったことがうれしく、それを書いてみますが、もちろん私の読みは浅く一度は解説で否定されたものだったため、中継を見ていて余計に驚きが大きかったものです。


 将棋チャンネルでは木村一基九段が解説を務めていましたが、後手の渡辺王将が藤井竜王の角をイジめながら78手目に6五桂と銀取りに跳ねた後の藤井竜王の指し手で、私は1二歩からの反撃はどうだろうかと思っていました。


(左が渡辺王将が桂を6五に跳ねた局面。右は私が予想した藤井竜王の指し手順)


 それは、後手の1一の香を取って4五香と打つと相手金が取れるからですが、木村九段の解説ではその手も解説され、相手香を取るためには自軍の桂と交換するのですが、その渡した桂を5六の歩の頭に打たれ、これが先手玉への王手になってしまいます。
 同歩で取ると角道が止まるし、同角と取ると相手の5五の歩で角を取られてしまい、この攻めは不発になると解説され、素人の考えの浅さをこの時点では痛感させられました。


 しかし、なんと藤井竜王は、私の考えた1二歩を次の79手目に決行したのです。1二歩・同香・1三歩・同香と歩を連打して香を吊り上げ、1三桂成・同桂と進み、4六香と一段控えて打ちましたが、渡辺竜王は香の頭に歩を打って近づけ、木村九段の解説通りに5六桂と王手で角道を止めました。
 解説では先手が角損でこの先の解説がなかったのですが、藤井竜王は角桂交換を厭わず、同角と出て同歩と角は取られましたが、香で4四の守りの金を剥がし、相手玉を結果的に危険地帯におびき出してしまいます。


 その後は、私には分からない攻防が続き、AIの評価値も一手指すごとに優勢が相互に入れ替わり続け、渡辺王将の126手目の9九角打からの連続王手をかわした藤井竜王が、最後は4五桂跳ねから15手詰めに渡辺玉を仕留めました。
 ただこの手順中、131手目4五桂を同銀ではなく、5二玉と下がっていれば即詰めはなかったそうですが、詰み手順の格言「玉は下段に落とせ」とあるため、秒読みに追われる渡辺王将でさえも、はっきり読み切れなかったのでしょう。


 とにかく、両者が脳みそを絞り合って戦ったもので、終局後の渡辺王将の疲れ切った表情が激闘を物語っていました。
 上級者が一目で無理筋だと思う指し手でも、その先に可能性を見出す藤井竜王の能力が素晴らしく、今回は偶々まぐれで私の予想が当たったものですが、そこには読みの量の差が大きく違うもので、私だったら相手の桂打ち王手で「失敗した~」と思ってしまうものです。


 さて下図はネットにあった詰将棋の「1手詰め」の問題です。「1手詰め」とは、自軍の駒を一つだけ動かして相手玉を詰ますものですが、「1手詰め」は詰将棋では最も初級になるもので、簡単なはずのこの一手詰めがへぼ将棋の私にはすぐには分かりませんでした。
 結局、そうかとさんざん考えて分かったものですが、詰将棋のルールに沿ったものであり、いわゆる次の一手で即詰みの形になるものでなく、結果的に「1手詰み」だと分かるものです。


    

(1手詰めの問題図。いかにも詰将棋用に作った特殊な局面で、違和感アリアリです)


 ヒントは、「逆王手を喰らわないように注意」というもので、詰将棋のルールに沿って考えます。


 B級1組の藤井竜王vs千田七段戦は、まだ31手目でAIの評価値は藤井竜王の54%ですが、日記を書いている間に局面は変わらないのに評価値は50%に戻っていました。
 AIはなんと490億手を読んでの評価値で、また藤井竜王の52%に戻りましたが、この一桁程度の数値差はほぼ互角というもので、この小さな差を徐々に広げていくのが藤井竜王の強さだというものですが、今後の展開に期待しています。


 たった1手でも読めない私にとって、560億手という途方もない手を読むAIの凄さにただただ脱帽で、また局面が変わらないのに50%に戻っているのが不思議です。