三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

「お嬢様スイング」

 私は「飛ばない」「寄らない」「入らない」の三重苦を持つシニアゴルファーですが、レッスンを受ける前のドライバーの飛距離は220y程度でした。
 これでも、1人予約の同世代の同伴者の中で比較すると「飛ぶ方」に入っているものでしたが、やはり以前の250yの飛距離を出したいと思っていました。


 鋤田プロのレッスンに参加し、「飛ばし」の練習ではプロから「もっと振れ!」と檄が飛びました。


 それまでは曲がらないようにと思う気持ちが、無意識にクラブを振ることを拒否し、自分の中でもショットに際しては「ゆっくり」というキーワードがあるほどでした。


 「飛ばし」のレッスンは、①ヘッドが付いていないシャフト ②ドライバー をそれぞれ思い切り素振りしてスイングスピードを測り、③では実際にドライバーで球打ちし、①~③を1セットとして計5セットをスイングしますが、その際は機器で計測した出た数値が、それぞれ個人ごとに設定された目標を超えるように頑張って「振る」練習です。


 ③のドライバーショットに至っては方向性や当たりの良し悪しは全く関係なく、チーピンでもドスライスでも構わないもので、とにかく機器が出す数値が目標をクリアできるように力いっぱいにスイングするものです。


 私は当初①のシャフト素振りで数値が300を超えることはなく、悠々と400を超える他のレッスン生の中で一番の遅さでした。
 しかし、とにかくマンぶりを繰り返し、最近ではやっと300を超えるスピードになってくるのにつれ、ドライバーでの球打ちも250y辺りの数値が出るようになり、現在の目標数値は260yになっているほどで、この「飛ばし」のレッスンが効果を発揮しているのは間違いないのです。


 その後、筋トレでムキムキボディーになっている64歳のミーちゃんが新規加入しますが、彼が精いっぱいのシャフトスイングでも当初の私のように数値が300を超えることはありませんでした。
 最近はコツがわかってきたのか、私の数値の上をいっていますが、その頃は傍目で見ていてもプロがいう「スイングしていない」ことがよく分かりました。


 先週、阿蘇ハイランドでご一緒した方が、まさしくこの「スイングしていない」スイングになっていて、本人は「飛距離が出ない」と悩んでいました。
 まだ50歳になったばかりなのに、ドライバーの飛距離は180y前後というもので、常に私より30y~50yも後ろからセカンドを打っていたのです。


 途中から飛ばない悩みを聞くことになりましたが、本人から「ドライバーはフィッティングしているのですか?」などと反対に質問され、飛ばない理由が道具にあるという錯覚をもっていることが分かります。


 ご本人のスイングは、素振りだけ見ていると一見すると綺麗な振り方をしているようですが、「お嬢様スイング」そのものでした。
 「お嬢様スイング」とはアドレスとインパクトの姿が同じであり、いわゆる形の見た目は綺麗な「お上品」な打ち方で、力感など全くないこの打ち方を私が「お嬢様スイング」と命名したものです。


 おじさんの「お嬢様スイング」ではイメージが悪いので、ネットの動画で「お嬢様スイング」の例を探してみました。

 このようにハンドレートでアドレスの再現のようなインパクトでは、止まっている球に動く力を与えられるのは、下りてきたクラブの重量によるエネルギーだけになってしまいます。
 いわゆる当たり負けも起こしてしまい、球に飛んでいく力はあまり伝えられないもので、結果的には飛距離は出ないということになってしまいます。


 私も覚えがありますが、最初に素人からゴルフのスイングを習ったときに「アドレスの形とインパクトの形は一緒=インパクトはアドレスの再現」と教えられた記憶があります。
 それが正しいことだと思ってスイングフォームを作ると、上の画像のようにハンドレートで球に向かうしかなく、こうすればインパクトがまさしくアドレスの形になるため、本人はフォームは悪くないと勘違いしてしまいます。


 それなのに「ハンドファーストで打てればもっと飛ぶ」と思っていて、このフォームでそれをやってしまえばグリップエンドが身体から左体側に外れてしまい、フォローでは左脇を空けて右にヘッドを抜くしかないスライスの打ち方になってしまうのです。


 こうして正しいことをしているはずなのに、なぜかスライス球しか出ないという、ただでさえ飛ばないスイングに飛距離を落とすスライスの打ち方をプラスするフォームになってしまいます。


 ここで最初の命題である「インパクトはアドレスの再現」ということが間違っていると疑わなければならず、それはこれだけ動画や静止画でプロのスイングが氾濫している現在では容易く気づけるはずですが、それができない人が多いことに最初に刷り込まれたマインドコントロールを解くことが、いかに大変かということが分かります。


 実際にアドレスとインパクトの形は違い、正しくは左腰が45度ほど背中側に捩じれてインパクトを迎えるもので、その際に身体の前にグリップがあれば必然的にクラブシャフトが斜めになってハンドファーストの形になるだけです。


 クラブを持ってアドレスの形を取り、ヘッドは球の位置から動かさずに、まず腰だけ左に45度ほど捩じってみればフェースをスクエアにしようとすれば手の位置はハンドレートになるしかなく、腰の動きに合わせてフェースをスクエアに保って身体の前にグリップを押し込むとハンドファーストの形に自然となるはずです。


 この形ができて初めてスイングスピードを上げる練習に移れるもので、球に力を伝えにくいハンドレートでどんなにスイングスピードを上げても、飛距離アップには効率的ではないのです。

(タイガーのバンカーでのハンドレートの素振り。飛ばす必要がないため、ハンドレートで打つイメージのようですが、タイガーがこの打ち方をしているからといって通常のスイングに取り入れれば、飛距離が出ないことになります。彼は必要な状況に応じてまさしく飛ばさない打ち方を選択しているだけです)


 実際のスイングでは、足の動き・下半身の動き・上半身の動き・腕の動き・手の動き・クラブシャフトの動き・クラブヘッドの動きなど様々な動きが関連するものですが、効率よく球に力を与えるためには、まず「インパクト=アドレスの再現」の意識を拭い去ることが重要です。


 某有名プロコーチのラウンドレッスンでは、左の尻を後ろに引くことを「ヒップターン」と言っていて、それが飛ばすための秘訣だと指導していました。
 「45度左腰を開く」という表現が私には分かりやすのですが、「開く=悪」というイメージがあるためこうしたものになっているのでしょう。

スライスのミスショットをすると「開いた!」とつい叫んでしまうゴルファーは多くいますが、彼らの「開いた」はフェース面が開いたの意味になります。


 私はその「開き」を防止するために、インパクトで右手を押し込む(飛球線に向かって伸ばす)意識を持つようにしていますが、すぐに忘れてスイングしてしまいます。
 プロからは、ハンドアップして構え、左肩を上げないでスイングするように指導されていますが、左肩が上がってしまえば球に届かないことになり、トップ球が出やすくなるのです。


 特につま先下がりからは、このミスが出やすく、昨日の阿蘇ハイランド13番のセカンドがまさしくこのミスでした。


 プロの指導では、左肩を上げないためには上体のカバーリングが重要になります。この左肩を上げないというのは、「アドレスの位置から上げない」という意味で、ショットの際は必ず右肩より左肩が上がることになるため、アドレスの左肩の位置から上げないようにするためには上体を前屈みにするしかなく、これがカバーリングになります。

 マシュー・ウルフのドライバーショットは、カバーリングでアドレスよりかなり頭が低い位置でダウンスイングに入っています。インパクトに向かって左腰は背中側に捩じれていますが、このカバーリングを行うことで左肩が上がることを防ぎ、結果的に両手がアドレスの位置に戻り、球をしっかり掴まえることができるのです。
 そのうえ、インパクト時に地面を蹴って伸びあがる「地面反力」も利用しているので、ますます球にエネルギーを与えています。


 もし、このカバーリングをしないで地面反力だけを使ってしまうと、上体が浮き上がりヘッドが球に届かないため、右肩を下げて左肩を上げる打ち方になるしかなくなり、結果はスライスになってしまいます。


 ゴルフの様々な表現をイメージするのは、人によって違います。「左尻を後ろに引く」とイメージすると私は身体がかなり開いてしまうため、45度開くと思っていますが、身体を開けない人は「左尻を後ろに引く」イメージの方が上手くいくかもしれません。


 カバーリングも「上体を球の上に覆いかぶせる」というイメージが分かりやすい人もいれば、私のように頭を下げるイメージの方がピンと来る場合もあります。
 もちろん、単に「頭を下げる」だけではダメですが、私にはそちらの方がよりイメージが湧くいうもので、だからといって他人に伝えるときに「頭を下げろ!」と言ってしまえば言われた側は間違った方向に行ってしまいます。


 「インパクトはアドレスの再現」という格言?も、「グリップ位置の高さ」や「左肩位置の高さ」がアドレスと同じ高さでインパクトを迎えると良いという程度で、間違った道に誘い込む勘違いやすい表現だと思います。