三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

イップス

今日の熊本は雨模様です。
ちょうどラウンドは無い日なので、朝からCS放送のスカイAで「ゴルフ侍」という番組を見ています。


「ゴルフ侍」とは舞台になるゴルフ場のクラチャンなどトップアマに、シニアプロがやってきて9ホールのマッチプレーによる真剣勝負を行うという番組です。


アマはホームコースですが、プロにとっては初コースというハンディがあるところがミソで、ラウンド中にはキャディーとのやり取りの音声も入り、それぞれのプレーヤーがどんな考えでコース攻略をするのか参考になります。


今日のシニアプロは、中根初男プロという52歳のシニアプロです。
スタートホールの10番と続く11番で連続バーディーを奪ったプロの楽勝かと思って見ていましたが、12番パー3でバーディーパットを外したプロに対して、寄せ1を決めたアマがパーを拾って流れが変わります。


13番で先にバーディーパットを決めたアマに対してプロは決めきれず、1アップになり、14番ではプロがティーショットをミスしてボギーになったのに対して、きっちりとアマがパーセーブして追いつきます。


この辺りまでは微妙な距離を外すプロに対し、グリーンをよく知るアマがアドバンテージを得る展開でしたが、15番でプロがまたリードしてそのままプロが押し切り勝利しました。


中根プロは、ショットの際に一旦クラブヘッドを持ち上げてフォワードスイングを入れて振り子の反動のようにバックスイングを始める奇妙な動きをします。
本人によると、バックスイングができないイップスになったため、その打ち方をしているのだそうです。


イップスと言えばショートパットのイップスが有名ですが、アプローチイップスやドライバーイップスもあるのです。


私はアプローチイップスですが、イップスという症状は思うように身体が動かなかったり、自分では思ってもいない余計な動きが出てしまうのが特徴です。


練習ではなんともないのに、ラウンドになると不安感だけが大きくなり、その恐怖から逃れようと思うのか、打つのも早くなってしまいます。


実は私のイップスという病はゴルフが最初ではありません。


小学校から大学まで卓球競技を行っていましたが、大学1年の夏の合宿で急にフォアハンドストロークでのラリーができなくなったのです。
当時はペンホルダーのグリップでしたが、ラケットの面がどこを向いているのか分からなくなり、相手からの球をあらぬ方向に返球してしまうのでした。


フォアハンドストロークは、試合や練習前のウォーミングアップを兼ねて行う基本的な打ち方なのですが、それが打てなくなりました。
それまでは腰が痛くなるまで千回でも2千回でもラリーを打ち続けていられたのに、急に手の感覚が分からなくなったのです。


相手の先輩からは「ふざけるな!」と怒られるし、なんでそうなったのか分からないまま合宿を終わりましたが、その後も症状が治らず、結果的にはシェークハンドグリップに変えるという対処療法を行いました。


するとフォアハンドは打てるようになりましたが、1年ほど経ったら、今度はバックハンドが打てなくなりました。
症状は同じで、バックハンドのストロークの際のラケットの面が分からなくなったのです。


当時はイップスなどという言葉もなく、我ながら不思議なことだと思うだけで、その後は競技から遠ざかっています。


次にイップスらしきものを感じたのは、職場でのソフトボールの際です。
当時はソフトボールが盛んで、職場の代表になるためには30人ほどの部員で毎日のように練習を繰り返していました。
幸いレギュラーになり、ショートで1番というのがポジションになりました。


ところがある日の練習で、三遊間から1塁までの送球感覚が分からなくなったのです。
球を掴んで投げるのですが、指を話す位置が分からなくなり、結果的には大暴投になってしまいます。


この現象はオーバースローの時だけ出たので、サイドからアンダースロー気味に投げ方を変えてごまかしていました。


こんな経験があったため、アプローチが打てなくなって、これはもしかして同じ症状かなと気づくことができました。
既にパターでのイップスは有名になっていましたが、まさかアプローチでもあるのかなというのが正直な思いでしたが、これまでの経験上あり得るなと思ったのです。


ある日、ネットサークルのメンバーとラウンドした際に、1人のドライバーのスイングがかなり変則です。
なぜそんな変な打ち方をしているのか尋ねたら、「ドライバーショットだけバックスイングが上がらない。」と言っています。


ネットで調べたら、確かにドライバーショットでのイップスもあるようで、ほとんどがバックスイングでクラブシャフトが上がらなくなる症状のようです。


程度の差こそあれ、イップスに悩むスポーツ選手は多いようです。中にはプロ野球の選手で、送球ができなくなったという事例もあるくらいです。


私は自分がアプローチイップスだと分かったら、しばらくゴルフから離れていました。
当時は、競技ゴルフに出場するようになった頃で、「寄せなければ」という強迫観念が強くなった結果だと思ったのです。


数年間のブランクの後、60歳で退職を機にゴルフを再開しましたが、そのときに決めたことが


1 競技には出ない


だったのです。
お気楽なラウンドを続けていると、イップスの時にあったアプローチに向かう際の硬直した身体の感覚があまり出なくなりました。
イップスは心理的な障害なので、その理由を取り除けば良いようです。


私にとってのアプローチイップスは、「良いスコアを出したい=アプローチを寄せたい」という願望が大きくなりすぎて現れた症状だと思っていたので、まず競技ゴルフに出ないならイップスが表に出ないと思ったのでした。


今でもアプローチの際には、動悸が早くなるのが分かりますが、どうせ遊びだと思ってアプローチに臨むことにしています。


アマチュアの場合は、しばらく離れるという対処療法もありますが、プロはそうも行きません。
イップスを克服しようといろんな対処を試行錯誤しているようで、「ゴルフ侍」に出演していた中根プロも、独特のフォワードスイングを考案してバックスイングイップスを克服したのでしょう。


ゴルフに限らず、熱中できることがあるのは素晴らしいのですが、何事もほどほどにしないとこのイップスという病に取り付かれやすいのです。
公にはなっていないだけで、これまで有望な選手がきっと何十人何百人とプロスポーツの世界から離れて行ったことでしょう。


不思議な心の病であるイップスは、なった当事者にとっては本当に厄介なものなのです。