監督に逆らう漢気
今日の熊本は午前中から薄雲が広がる天気ですが、気温は30℃超えとまだまだ残暑が厳しい一日になりました。
今日は当初から何も予定はなく、MLB中継のドジャース対フィリーズ戦を視聴していましたが、その試合途中で先発のスネル投手が交代を拒否する様子が映りました。
場面は7回表2アウトで四球のランナーが1塁2塁と埋まった状態で、ドジャースのロバーツ監督がいつものように慌てて走ってきましたが、スネル投手が何事か言いながら交代を拒否し、監督はスゴスゴとベンチへ戻り、観客は大喜びで拍手していました。
なぜ、観客が喜んだのかというと、最近のドジャースは逆転負けが多く、その原因として好投の投手をすぐに変えたがる監督の性格と、変えた結果がブルペン投手の不調によるまさかの逆転劇に繋がるシーンを何度も見せられていたからです。
例えば、9月7日のオリオールズ戦で山本投手は9回2死までノーヒットノーランのピッチングをしていましたが、土壇場でホームランを打たれて失点したものの、まだチームは2点リードの状態でしたが、監督が出てきて山本を交代させた結果、逆転負けしています。
昨日も大谷投手が5回までノーヒットノーランの好投をしていて、テレビ中継では大谷投手は「6回もまだ投げられる」と答えたという情報が紹介されていましたが、監督は6回からリリーフ投手に交代させ、その回に6失点で逆転され、結果的にチームは敗退しています。
私自身は、これらの交代はある意味当然だと思っていますが、世間では監督の采配が悪いという意見が多くなっています。
それはこの2つのケース以外にも、監督が投手を交代させたことで敗戦に繋がったケースは多く、一昨日も好投のシーハンを交代させた後の継投に失敗して敗戦に繋げていて、それが分かっていたから観客は今日のスネル投手の交代拒否に喝采したのでした。
一般的に、MLBの投手の交代時には最初に投手コーチが話に来て、交代するか続投するか相談するケースが大半で、今回のように監督が出てくることは即「交代」を意味しています。
昨日の大谷投手の時も、監督は投げれるか確認してOKを聞いていたのに交代させていて、それだけMLBでの監督の権限は強いのですが、さすがにサイヤング賞2回のスネル投手の拒否には逆らうだけの自信が監督になかったのかもしれません。
結果的にスネル投手が気迫の投球で三振を取りその回を終わっていて、次回は交代したベシア投手が頭から投げることが出来、3人で終わっています。
もしスネル投手を交代させていれば、ベシア投手がその回を投げていたはずで、たとえ無失点に抑えていたとしても8回9回は他の投手を投げさせる必要があり、誰かが不調でピンチを迎えるといういつもの展開になることも予想されました。
スネル投手はロバーツ監督が出てきた際に、テレビ画面でアップになり、何事か口走っていたのですが、「おいおい出てくるなよ」的なことを言っていたのかもしれず、サイヤング賞2回の投手のプライドを考えない行動にムッとしたのかもしれません。
NPBとMLBの違いはいろいろありますが、監督というポジションへの捉え方も全く違うように感じています。

(AIが作成した野球の監督のイラスト)
NPBでは監督はスター選手が引退後に座るポジションで、監督は現役時代同様にスポットライトを浴びる存在です。
球団にはフロントと呼ばれる組織もありますが、チーム構成などにも監督は大きく関わって監督はチームの最頂点というべき存在となっています。
しかし、MLBではチーム編成はGMの権限で、監督はその与えられたチーム構成で勝利を目指すのが職務になり、現場では絶対の存在ですが勝てなければすぐに首を切られる存在でもあります。
つまり監督に対する見方が日本とは大きく違うのがMLB監督で、日本的な考え「平社員が管理職になり最後は社長」という「出世」の図式ではなく、MLBでは監督はあくまで監督という職業で現役引退後に選手が野球で生活して行くための方法の一つだということです。
監督業も選手同様にコーチからマイナーの監督などを経てメジャーに昇格する図式があり、日本のように現役引退=即監督というケースは非常に稀なことです。
そのためスター選手が引退後に監督業を目指す志向はほぼなく、それはマイナーの環境が劣悪で監督と言えどもマイナーでは選手同様の扱いを受けるためで、ほとんどの監督はメジャー経験があったとしても中堅以下の選手で、現役引退後の生活のために指導者への道を歩んでいるというのが実情です。
ドジャースのロバーツ監督はMLBでは10年の経験がある外野手でしたが、通算の出場試合数は約半数の832試合に留まっています。
通算成績は、平均打率0.266で本塁打数は23本という並みの成績で、特に守備や打撃で賞を取ったこともなく、オールスターに選ばれたことは補欠で候補に1回なったというだけで、もちろん出場経験はありません。
ただ通算盗塁数だけは243個とそこそこの成績で、野球選手としては177㎝と小柄であり、今のドジャースでいえばキム・ヘソン選手のような存在でした。
ロバーツ監督は選手時代の経歴でMLBの年金支給条件は満たしているはずで、62歳から4千万円ほどの年金支給は受けられますが、それは2035年からになります。
引退は2009年だったため、年金支給まで26年もあり、その間はスーパースターのように高額な年俸ではなかったため、何かしらの職業に就く必要があったはずです。
つまりスターではなかったため、野球で生きてゆくために指導者の道を選んだわけで、もし大谷やベッツ、フリーマンのような大スターだったら引退後は悠々自適の生活がおくれるのでしょうが、そうではないメジャー選手の方が多数なため、比較的ロバート監督のように現役時代は地味な選手が指導者への道を歩む傾向にあるのです。
現在の30名のMLB監督で現役時代にオールスター選出の経歴がある監督は2人だけで、ヤンキースのブーン監督とガーディアンズのボート監督ですが、この2人とも大スターであったとは言えません。
そんな観点からMLB中継を視ていると、また違った面白さが出てきますが、今回のスネル投手の交代拒否自体は本来は監督への反抗となりそうですが、投手コーチが出て来ていなかったことから監督が単にスネル投手の様子を聞きに行っただけという扱いになりそうで、監督権限を犯したということにはならなそうです。
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