三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

競う気持ちとマナー

私は小学校から大学まで卓球を競技として取り組み、社会人になってからも数年間は赴任先の卓球協会に加入して、高校生を指導したり中学生の大会の運営などをしていました。


また30歳代になると卓球からは離れましたが、テニス競技にハマり、県内の各種大会などに積極的に出場していた時期もあります。
定年後は、ソフトボールのシニアチームで練習と大会出場を行っていて、最近は投手の練習も始めています。


このほか趣味としての球技は大好きで、職場対抗のバドミントンやサッカー、バレーボール、ハンドボール、バスケットボールの各大会に出場して、ハンドボールの大会では出場最年長の表彰を60歳のときに受けたことがあります。


ボウリングにも一時期ハマっていて、毎日8~10ゲーム投げていた頃もあり、ゴルフにハマるまではボウリングを人生最後のスポーツだと思っていました。


こうした私のスポーツ経験で思うことは、スポーツの競技は他人との競争だということです。
卓球などの個人競技とソフトボールなどの団体競技という違いはあっても、戦う相手は「人」であり、その相手より上になれば良いということです。


唯一、ボウリングだけがゴルフと同じように「ゴルフコース」に当たる「レーン上のオイル」の読みという「人」相手ではない部分があり、最終的に戦う相手はゴルフ同様に「自分の中の心」になるという似たような特徴があります。


一般的な個人競技での球技は、自分が不調であっても相手を胡麻化して勝つことも可能です。まず所属するチームのレベルが高いと、相手は戦う前から委縮するという傾向もあり、そんなときは無理に攻めずに守りに徹していれば、相手が勝手に1人相撲を取ってくれる場合があり、大会など1日で団体戦と個人戦を行うときは10試合以上を行う必要があり、初戦などをできるだけ省エネで勝ち上がることは、上位に進出するための必須な作戦です。


団体競技でも、試合前の練習などで相手を威圧する行動で、優位な立場に立とうということはありがちです。
相手に「強そうだな」と思わせれば、そこで精神的に優位な立場に立つことができ、そのため当然に強いチームほど統制の取れた試合前の練習を見せるようです。


ゴルフは止まっている球を打つため、動く球で競技する他の球技と比べると簡単そうに見えますが、実際は「自分」の中にある「心」との戦いになる異質な競技になります。
ゴルフのプレーそのものに、他人は直接関与はできません。


例えばバレーボールのブロックやバスケットボールでのシュートブロックなど直接に得点をさせないプレーや、サッカーやハンドボールには得点を阻むキーパーの存在がありますが、ゴルフでは他人の球の位置を動かして変えるとか、打つ方向に邪魔になるように立つなどはできないのです。


つまり、ゴルフ競技で他人に「勝つ」ためには、自分がコースとの戦いに勝つしかなのですが、他人を「蹴落とす」意識があるゴルファーも時々いるようです。


よくある行為が、なにげなくティーイングエリアに上がった際に「すごい!まだパープレーか!」などと聞こえる程度に好調な同伴者のスコアを呟くものです。
そうするとそれを聞いた好調だった同伴者はスコアを意識してしまい、そこから崩れるパターンも多く、ルール違反ではないものの典型的な相手を蹴落とす行為だといえます。


こうした他人を蹴落とす行為は、意識的・無意識に関わらず、ラウンド中はよく見られます。
ゴルフではプレーのリズムは重要な要素で、上級者はリズムを崩さないような気を配っているのです。


例えば、同伴者がセカンドショットを打ち終わり、自分の後方を通ってカートに戻るかなと感じたときは、枯れ芝を拾って投げて風向きを調べたり、クラブを替えて素振りしたりして、後方を同伴者が動く時間を確保するようにします。
同伴者が気配りがあるレベルの人だと思えば、後方を移動することはないとそのままプレショットルーティンを始めてプレーに入ります。
つまり、相手のレベルを見て、自分のリズムでプレーできるように調整しているのです。


そうやって気を遣っているのに、気配りがない同伴者がカートに近くなって大声で「俺の球はどっち行った?」と別の同伴者に聞いたりすると、またプレショットルーティンから始めることになり、そんなときに限ってその同伴者から「プレーが遅い奴だ!」と思われそうですが、「あんたが邪魔しているんだ!」ということです。


スコアが悪いゴルファーほど、ショットそのものの時間だけを確保すればよいと勘違いしています。
ある程度のレベルのゴルファーは「プレショットルーティン」というショット前の手順を決めていて、それを邪魔するようなことが起きると最初の手順に戻ることになり、もしそれをやり直さないとほぼミスに繋がります。


上手いゴルファーほど「スロープレーは悪だ!」と思う意識があり、あまり時間を取るのは良くないとプレショットルーティンをやり直さずに打ってしまってミスするパターンは多いのですが、こうなると結果的にプレショットルーティン中に音を立てたり動いたりして影響を与えることは、マナー違反になるのです。


余談ですが、強いゴルファーはスロープレーなど全く気にせずに、時間を取って堂々とやり直します。時間がかかるのは自分の責任ではないと考えるからです。
だから強いゴルファーはわがままな人が多いのですが、人としてはどうなのでしょう?


プロの試合などで、選手がアドレスに入る際にボランティアのマーシャルが「お静かに!」の札を上げるのは、プロだからではなく、ショットの際には細心の注意をプレー前に払っているためで、少しの音でもショットに影響を与えるからです。
わずか数ミリの打点のズレで、結果は大きくなるのがゴルフのショットです。


自分がきちんと打てないから静かにしても同じだと考えたり、仲間内で大声で邪魔したりするマナーがないゴルフばかりをしていると、いつまでたっても上達などは程遠いのです。
なぜプロの試合でマーシャルが「お静かに!」の札を立てるのかの意味をもっとアベレージゴルファーは知るべきで、自分でもそうした環境でプレーに臨むのは大事なことだと気づくべきなのです。


テニスのサーブを打つ前にも主審は「クワイエット・プリーズ(quiet please)」と観客に静粛になるようにコールします。
テニスのサービスでは選手はゴルフのショットと同じように、精神の集中を高めていますが、実はラケットで球を打つ動作だけではなく、球を上げる部分(トス)の前からが大事なのです。


音が聞こえたりすると、選手はトスした球を打たずに止めてしまいます。
トスする前に選手は数回ボールをコートについてリズムを取り、身体を使ってトスしますが、この途中で違和感があればやり直します。
正確にトスが上がれば後は打つだけなので、プロだったらほぼ9割の確率で相手のコート内に打ち込むことができるのです。
つまりトスの成功がサーブのほとんどを占めるといっても過言ではないのです。


ちなみにテニスのサーブには種類があり、一番威力のあるフラットサーブ、左に切れて行くスライスサーブ(右利きの場合)、そしてセカンドサーブで多用されるスピンサーブで、それぞれ微妙にトスの位置が異なります。


この「ボールを地面に何回つく、相手を見て構えてトスする、ラケットで打つ」の一連の動作は繋がっていて、何回つくかは選手によって違っています。
ゴルフのプレショットルーティンと同じで、選手は常に同じ回数のボールをついて、サーブの動作に入るのです。


テニスもゴルフもこのプレショットルーティンは重要です。野球のイチロー選手も、打席に立つとバットを素振りし、構えるという一連の動作を常に行うプレショットルーティンをしています。


アマチュアゴルファーであってもどんなレベルであれ、このプレショットルーティンを取り入れることは上達のためには必須であり、自分のプレショットルーティンを確立する練習をするべきです。


そうすると、他人のプレーの動きでどこからが重要かが分かるようになり、ここからは動いてはダメだという境目が分かるようになります。


他人より上位になりたいという気持ちは理解できますが、「蹴落とす」のではなく、自分自身を高める意識でゴルフに取り組んでほしいのです。
そうすれば、もっとゴルフは楽しく、魅力的なスポーツになっていくのだと思います。