三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

異色のPリーガーは形に拘る風潮へのアンチテーゼ

昨日はテレビ番組で久しぶりにPリーグを観戦しました。
Pリーグとはボウリングの女子プロによるテレビマッチで、トーナメントの各1戦を3人で闘い1人が2回戦に勝ち上がり、最下位の選手は次回出場停止という厳しいシステムです。


以前、ボウリングをやっていた頃はよく見ていましたが、この3年はボウリングを全くやっていなくて、Pリーグをみることも無くなっていました。
その久しぶりに見たPリーグに、異色のボウラーが出場していました。


Pリーガーにはそれぞれキャッチフレーズが付いていますが、「型破りなバックアッパー」と名付けられた岩見彩乃という28歳のプロボウラーです。


プロボウラーは普通は一目でわかるボウリング専用のシャツを着用していますが、なんと岩見プロはコスプレのような衣装で投げるのです。
頭の上には狐のお面まで乗せているという、ボウリングの関係者から見ると「ふざけている」と誤解されそうないで立ちです。


外面が変わっているだけでなく、その投法もかなり独創的です。
一般的なボウリングの投法では、右利きであるなら1番ピンと3番ピンの間の「ポケット」と呼ばれる場所を狙ってストライクを狙います。
そのためには、右から左に曲がるいわゆるフックボウルという球筋をほとんどの選手が採用していて、ボウリングの球もそうした曲がりをするようルール上認められる範囲で作られています。


ボウリングをするアマチュアでも、そうしたフックボウルを投げることがほとんどで、最近はより強い曲がり方をする両手投げを使う選手まで表れています。
しかし、力のない一般的なアマチュア女性や子供が軽いボールを投げると、球の軽さにより、フックせずにスライスする場合が多く、そこはゴルフとよく似ています。


岩見プロが異色のボウラーと言われるのは、一般的なフックボウルでなく、バックアップといういわゆるスライス球を持ち球にしているのです。
そのバックアップ投法で「ブルックリン」という1番ピンと2番ピンの間を狙います。


またアマチュアを含めプロボウラーの助走は5歩というのが一般的ですが、岩見プロは今は4歩助走になりましたが、当初は3歩というこれも初心者が最初に習う助走数です。


岩見プロはどこから見てもプロボウラーには見えないのに、ストライクを連発するのです。そのストライクを取った時も、初心者の女性が喜ぶような仕草を見せるし、ときどきイージーなオープンフレームを作るのも初心者ポイのです。


プロは右利きの場合、「タップ」といって10番ピンが残る場合が多いのですが、岩見プロはバックアップなので7番ピンが残る場合が多く、これを良くミスします。


しかし、そのミスを補って余りあるストライクの連発があるという、見ていて面白いボウラーであり、プロとしてこれはこれで魅せるものでアリだと思います。


ボウリングとゴルフは似たような部分も多いと感じています。
他の競技者と対戦するけど、競技者は他の競技者にスコアでプレッシャーはかけられても、プレーに影響のある動きや邪魔をすることはできません。
ゴルフがコースとゴルファーの闘いになるように、あくまでレーンと投げるボウラーとの闘いになるのです。


ゴルフの場合は、芝や傾斜など目で見る情報が得られますが、ボウリングでは見えないコースコンディションという「オイルの変化」を読む力が求められます。
ボウリングのレーンは見た目は同じように見えますが、実はレーンの手前3分の2ほどだけにオイルが塗られ、ピン側はオイルが塗られていません。
そのため、ボウリングのボールはピンの手前でボールと床の摩擦力で急激に曲げることができるのです。


しかし、塗られたオイルは、投球するボールによって徐々に塗られていない部分にも付着してきて、それまで曲がっていた部分の曲がりが微妙に変化していきます。
そのため、右利きが多いプロの場合、レーンコンデションが変わりやすい右側より、ボールが通らない左側を使う左利きが若干有利になるとも言えます。
ただ最近は左投げのプロも多くなり、一概に有利とはいえないのですが、1センチ2センチの範囲の誤差でピンの倒れ方が違ってくるので、オイルを読む力はボウラーにとっては大事な能力になります。


助走する場所をアプローチと呼ぶのも、ゴルフでグリーン回りからピンに寄せるアプローチと同じようなものです。
ゴルフの場合はアプローチして次に1パットを狙うけど、ボウリングの場合は1投目に倒し損ねたピンが残ると2投目でスペアを狙うことになり、このスペアが取れないとスコアは伸びない仕組みになっています。


ゴルフは、アプローチして1パットで決めきれないとスコアを1打ずつ落としてしまい、18ホール全てで落とすとパー72でも90というスコアになってしまいます。
ボウリングは、1投目が全て9本カウントで残り全てスペアだと、実際には1本×10回=10点に1投目の9本×10回=90点の合計100点になるはずですが、ルール上はスペアの場合は次に投げて得たスコアも加算されるため(1点+9点)×10回=100点に1投目の90点が加算され190点という大きなスコアになるのです。


ストライクの場合は次の2回の投球の本数までが加算され、全てストライクをとると最高の300点つまりパーフェクトゲームになります。


ゴルフの初心者がスコア100切りを目指すように、ボウリングの初心者はスコア100アップを目指すのも似たようなものだと思います。
ゴルフのスコア72というパープレーがボウリングのアベレージスコア200と同様なもので、プロボウラーのアベレージスコアが200程度だといわれています。


ゴルフは1ラウンドで72というスコアを出すのはアマチュアにはかなり大変ですが、ボウリングでは200アップすることはそんなに無理なものではありません。
しかし、ボウリングの場合は1日に10ゲーム以上投げての平均スコアになるので、それを考えるとアベレージ200というスコアとゴルフの72というスコアはほぼ同レベルかなと考えています。


ボウリングの投球では、約4.8m前にあるスパット(アロー)という7本の目印を目標に投げます。スパットは2.7cm幅のボード5枚に1つ付けられていて、アプローチレーンのリリースガイドが同じ位置にあり、ボウラーはリリースガイドとスパットを利用して投げる位置を調整して投球することになります。
これもグリーン上でのパットの際に、ラインの目標になるような目印を探すことと同じです。


ここで強調したいのは、一般的なフォームが最適でなく、独創的なフォームでもスコアメークさえ安定してできればいいということです。
ボウリングのプロの投球フォームには、それぞれ特徴があり、岩見プロのように以前は「邪道」と言われるような投げ方でも問題はないのです。


それに引き換え、ゴルフの場合はその時点で好調なプロのスイングが持て囃されます。
体型や筋力などを無視したままトッププロのスイングの真似をするのは本来はおかしなことで、実際はその個人に合ったスイングを見つけるべきなのです。


ゴルフクラブをどんなにスイングプレーンに乗せたスイングをしたとしても、ボールが真っすぐ遠くに飛ぶとは限りません。
人それぞれに身長や体格、筋力は異なるものであり、それを流行りのスイングに纏めてしまおうということ自体が乱暴な話だと思います。


プロのスイングを見ても、細かい点はかなり異なっていて、そのスイングが合うか合わないかそれぞれのプロが試行錯誤して作り上げたスイングなので、アマチュアが形だけ真似をしても意味がないものだと思っています。


異色のバックアッパー岩見プロの投法を見て、ゴルフがいかにフォームに拘って無駄なことに無駄な時間や経費を使っているかがよく分かります。
要は気持ちよくスイングして、気持ちよく飛ばせればよく、真っすぐに打てないゴルファーから私のスイングがどうとか余計な評論は勘弁してほしいのが本音です。