三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

パットで歩測は不要なもの

 最近はラウンドを入れていない日は、他のブログをいろいろ読んでいますが、中には本当かなと疑うものがあり、前回は「パットはプロライン」を推奨するような意見に対し、「アマチュアはアマラインを意識すべき」https://yupon2102.muragon.com/entry/1142.html という内容の反論記事を書きました。
 今回はまたパットに関してですが、「グリーン上での歩測の勧め」について反論してみます。


 いわゆるグリーン上での歩測の必要性についてですが、テレビの中継などでプロがグリーン上でパットを打つ前に、カップまで歩いて行ったりしている光景を見て、プロは必ず歩測しているんだと思っている人は多いようです。
 現実にプロが歩測していることに私は否定はしませんが、アマチュアが真似することはあまり意味がないことだと思っています。


 1人予約などで一緒になるアマチュアゴルファーの中にも、わざわざ歩数を数えて「カップまで〇歩だ!」と呟いている人もいますが、それで距離感が出せるのであれば苦労はしませんが、私は歩測することには否定派です。


 なぜならそんなゴルファーの頭の中を覗いてみると、
カップまで〇m → 〇mのタッチはこのくらい → だったらこの強さでヒットする というような図式を立てているはずです。
 この図式が成立するためには、〇mをどのくらいのタッチで打てればよいかという前提条件が必要であり、圧倒的にグリーン上での練習が少ないアマチュアにとってみれば、その強さ加減を掴んでいることはまれなのです。


 例えば、手に持った球をカップに向けて転がそうとします。そんなときにあなたはわざわざカップまでの距離を歩測するでしょうか?
 歩測するという人はいないはずで、ほとんどの人は見た目の感覚で上手く球を転がせてカップの近くに寄せることができるはずです。


 身近な別の例え話にすると、室内の隅にある塵箱に、丸めた紙くずを投げ入れようとするときにわざわざ歩測しますか?
 もちろん歩くのが面倒だから投げるのであり、歩測するくらいなら持って行って直接入れるのでしょうが、その突っ込みは置いておいて、では塵箱までの距離を目測でも〇mと測りますか?


 ほとんどの人は、見た目の感覚で投げると思いますし、それで結構うまく入ることもあり、入らなくても塵箱の周囲に投げれるはずです。


 この「感覚で」という場面でもっとも重要なことは、そのときは目標に「正対」している点です。
 つまり、人間には目が1対あり、目標に正対することで自然に距離が分かるような能力を元々持っているわけで、パットの際は正対していないため距離感が上手く出しずらいだけです。
 だったら、目標に正対して素振りをすることで、距離感を作った方がずっと合理的ではないかと私は思っているのです。


 グリーン上で何度もカップまでを往復して歩測し、そのくせ大きくショートするゴルファーは多いようで、だったら無駄に時間を取らずにさっさと打てよと思ってしまいます。


 私も距離の長いパットの際は、途中まで歩くことはありますが、それは歩測しているわけでなく、足裏で途中の傾斜を感じ取るようにしているためで、足裏で得た上りや下りなどの微妙な情報を見た目の距離感にプラスするようにしています。


 ゴルフは上級者が自らが持つ感覚を初心者の他人に伝えるために、例えばスイング幅を9時から3時とか、肩から肩までとかの理解しやすい言葉で伝える場合が多いのですが、パットの距離感も同様に「歩測して〇mを打つ」というように推奨しているのです。
 しかし、せいぜい20m内の距離感であれば、人間の感覚で対処できる部分であり、実際はもっと自然なもの、本能的なものだということです。


 他人に伝えやすい方法が、逆に当該本人の元々は持っていた感覚を失わせる結果に繋がるのであり、自分の本能を研ぎ澄ませようとすれば、もっと結果が出るはずというのが私の意見です。 


 子ども頃に誰でもがやった「輪投げ」という遊びがありますが、投げる際に歩測しましたか?
 そんなことはせずとも、見た目だけで上手く投げられたはずです。(入る入らないでなく、距離が合うか合わないかの視点です)


 ゴルフだけが、感覚とは違う部分をさも「上級者だけがやっている秘密の方法」などと広めるから、いつまで経っても本能という、誰でもが持っている感覚が使えなくなるのだと思っています。


 要は「〇mだからこのくらいのタッチで」という決まり事を一生懸命練習するよりは、目標に対して素振りをして「このくらい」という感覚を研ぎ澄ませる練習のほうが、ずっと人間らしい能力を発揮できるものです。


 ちなみにプロが必ず歩測するのは、グリーン上ではなくショットの際の残り距離を測る場合で、1y刻みでショットを打ち分ける必要があるプロにとっての残り距離を正確に知っておくことはとても重要なことです。


 なぜなら遠い距離は、コースの設計家が見た目の感覚を狂わそうといろいろ罠を仕掛けているためで、見ただけでは騙されやすいため、この部分は機械的になるわけです。
 アマチュアはこの部分はぜひ真似すべきで「どうせ上手く打てないから」と残り距離をいい加減にしてショットに向かうアマチュアは、既にショット前に良い結果は見込めないというものです。


 こうした歩測は、GPS距離計測機の導入でアマチュアでも簡単に残り距離が分かるようになり、この点では便利な世の中になったものです。


 パットを含むショートゲームでは、アマチュアにとっては輪投げなどと同じ「遊び」感覚でよいのであり、そこには「奥義」や「秘儀」などなく、ましてや機械みたいなシステマチックな考えも不要です。
 誰もが持っている本能という感覚を上手く生かしてプレー出来れば、ゴルフはもっと人間味のある「遊び」になるはずです。