三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

ご意見への返信

 「風の大地」さんから、昨日の日記の記事に関して、コメントを頂きました。風の大地さん、コメントありがとうございます。


 コメント内容は、詳細については昨日の日記のコメント欄を読んでもらえば分かりますが、要約すればその日記に書いた「後方に立つマナー違反」に関してのものです。
 風の大地さんも、ホームコースの月例競技で、他のメンバーのそうしたマナー違反に悩まされているようで、トーナメントのテレビ中継で「『後方に立つのはマナー違反です』というテロップを後方からプロのショットを撮る際は流してほしい」という、なるほどな提案をされています。


 今年からゴルフ規則が変更になり、旧規則の最初にあった「エチケット・マナー」についての項目はなくなってしまいましたが、改めて旧規則の当該部分を転記してみます。(太文字や下線は私が付けました。)
                                       
 (旧規則)
 第1章 エチケット
◎ 他のプレーヤーに対する心くばり (他のプレーヤーの邪魔にならないように)


・ プレーヤーは常にコース上の他のプレーヤーたちにも心くばりを示すべきで、むやみに動いたり、話し合ったり、不必要に音を立てたりして他のプレーヤーのプレーの邪魔になるようなことをしてはならない。


 ・ プレーヤーは、どのようなものであれ、コース内に持ち込んだ電子機器が他のプレーヤーの集中を乱すことのないよう留意するべきである。


・ ティーイングエリア上では、プレーヤーは自分の打順となるまでティーアップしてはならない。


 ・ 他のプレーヤーがプレーを始めようとしているときに、プレーヤーはそのプレーヤーの球の近くや真後ろ、あるいはホールの真後ろに立ったりしてはならない。
                                       
 このように、旧ゴルフ規則では(ティー)ショットの際に飛球線後方に陣取ることは、エチケットに反する行為、つまりマナー違反だとはっきり明記してあったのですが、今年から施行された新規則では、このエチケットの章が無くなっています。


 では、新規則ではそれまでのマナー違反が許されるようになったのでしょうか?


 そうではないと思います。


 規則集は規則(ルール)を定めておくものですが、その中に本来は当たり前に守るべき行動規範を具体的に記述すること自体が、規則集(ルールブック)にはそぐわないことなのです。
 旧規則では項目が膨大な量に膨れ上がっていた状況から、結果的には読みづらいもの、ゴルフのルールは難しいということに繋がり、本来はゴルファーが知っておくべきルールなのに、よほどのルールマニアでなければルールに精通できないという矛盾がでていたため、それを正そうという考えに至ったのでしょう。


 新しい規則では、かなりの部分が簡略されたものになっていて、旧規則の第1章のエチケットに代わるものとして、規則1の中に「プレーヤーの行動基準」があり、次のように定められています。
                                        


1.2 プレーヤーの行動基準 
1.2a すべてのプレーヤーに期待される行動 
 すべてのプレーヤーは次の行動をとることによってゲームの精神の下でプレーすることが期待される
・ 誠実に行動すること
  例えば、規則に従う、すべての罰を適用する、プ レーのあらゆる面で正直である。
・ 他の人に配慮を示すこと
  例えば、速やかなペースでプレーする、他の人の安全に気を配る、他のプレーヤーの
 気を散らさない。 
・ コースをしっかりと保護すること
  例えば、ディボットを元に戻す、バンカーをならす、ボールマークを修理する、不
 必要にコースを傷つけない。
                                         
 これでも私的にはまだ諄いとは思ってますが、、。


 同伴者などが後方に陣取ることが、プレーヤーにとって気が散る行為だとすれば、それは行動規範に違反する行為になったようです。


 さて、ここでなぜ「後方に陣取る」というマナー違反をしてしまうゴルファーが多いのかということを考えてみます。 


・ 同伴者のショットの行方を見てあげる
 この理由が一番多いと思われます。ドライバーショットを大きく曲げるゴルファーは多く、打った本人は球の行方を見失いがちだから、最も球筋を追いやすい後方から確認するために位置するのであり、本人たちはマナー違反どころか「良かれ」と思っているのです。
 確かに真後ろだと、球の行方は分かりやすいのは事実です。


 私はLPGAツアーのバンテリンレディースで、1番ティーで選手の真後ろから打った球の行方をセカンド地点のフォアキャディーに「右・左」とインカムで指示する業務をしたことがあります。
 1番パー4の左は林で右にはOBがあり、コース自体が見た目より左に曲がっているため、ティーからはセンターに見える右目に打つとOBの危険性が高く、プロは当然OBの場合は打ち直しになるため、進行上の理由でフォアキャディーが左右に配置されていますが、彼らからは球の打ちだし方向が見にくく、選手のショットの方向を教える必要があり、その指示役をしたのです。
 このときは後ろの看板横で身を屈め、できるだけ選手の邪魔にならないよう最大限の配慮をしていました。


・ ただ何となく
 ティーインググランドで立つ位置が分からない初心者が、マナー違反している同伴者に倣って立ってしまうことも良くあります。
 そのため、後方に3人が固まるという光景になるのです。

(この風景では、同伴者2人の位置がマナー違反になります。また後続組のうち2名がティーイングエリア内に入って見学していて、こちらもマナー違反です)


 私がゴルフを始めた25年前は、最初は職場の同僚に誘われてゴルフを始め、マナーなど全く分かりませんでした。
 百花園というショートコースでの初ラウンドでは、他の職場にいた後輩などと一緒にラウンドしましたが、その際にその後輩から「グリーン上で他の方のラインを踏むのはマナー違反ですよ」と指摘されるくらいマナーについては疎かったのです。


 数年のブランク後に心機一転して、ゴルフを本格的に始めようと決心し、あるゴルフ練習場のレッスンに通いだし、所属コーチに指導してもらうことになりました。
 そのコーチは見た目も怖く、指導も厳しい方だったので敬遠する人が多く、他のコーチのレッスンは受講者もそれなりに多かったのですが、このコーチのレッスンには私も含めて3人しかおらず、そのためじっくりと教えてもらえました。


 年配の方だったので、マナー全般についてはとても厳しく注意され、特にラウンドレッスンでは思いもかけない部分でいろんなことでかなり怒られたのですが、そのおかげでゴルフ場でやってはいけない行為は身に染みていて、最初の教育が大事だと思い知らされています。


 私も最初は仲間内だけでゴルフを始めていれば、最低限のマナーの入り口程度しか認識できなかったと思います。
 コーチからマナーを厳しく教わっていても、それでもマナー違反をしことがあります。数年後に赤水のメンバーになり、そこで年配の上級者から怒られた経験があったのです。


 それは、ティー前で無意識に素振りをしたのですが、それがたまたま左側のティー外に待機している同伴者の方向に向けてだったため、「危険だ!小石などに当たることもあるし、クラブがすっぽ抜けることもある」と激しく怒られました。
 すぐに謝り、それ以降は絶対に人に向かっての素振りはしないように心がけましたが、以前はこのようにすぐに注意してもらえる方がたくさんいたのです。


 現在は、注意すること自体が躊躇われる世の中になりました。自分さえ我慢すればというような意識になりがちで、私もマナー違反の同伴者に以前は気になるものの言えずじまいでした。
 しかし、それが気がかりだとプレーに集中できずに、スコアを崩すことに繋がってしまい、ある時に意を決して注意したものの、今度は注意したことでまた気になってしまい、余計にリズムを崩す結果になりました。


 つまり、注意してもしなくても、心の中で気持ちに波立たせることに繋がってしまっていたのです。
 ある時、師匠と仰ぐ方に相談したら、「気にしないならそのままにするか、気になるなら言えば」とあっさり言われ、「注意する」という行動が相手にどう取られるかという余計な心配を生み、自分の心の中を波立たせることに繋がるのであり、だったら「お願い」をすれば無用な心配もなくなると気づきました。


 最近では、スタートのティーで真後ろに立ちそうな場合は、笑顔で「すみません、私は後方が気になるタイプなので、横の方に少しずれてもらえませんか?」とお願いするようにしています。
 こうしたお願いをすれば、まず間違いなくその通りにしてくれるわけで、大上段に「マナー違反」などと指摘するのは、結局は自分のリズムを崩すことになってしまいます。


 マナーを知らないゴルファーに「マナー違反」だと指摘するのではなく、「お願い」という形にすれば、そのゴルファーが良かれと思って位置しているのであれば、すぐに移動してもらえるのです。


 こうした自分の中で当たり前だと思っている「マナー」であっても、知らない方にとっては「なんで?」と思われるものです。
 「お願い」することで「マナーとして後方に陣取らない」という問題を解決できるとは思いませんが、気になるゴルファーはその場で「お願い」をすれば少なくとも被害は負わないはずです。
 常識は時代や場所ごとに変遷していくもので、「後方に陣取ることが当たり前」とか「他の方のショットの行方を見届けるのは同伴者のマナー」だとかの意見が優勢になれば、そちらが常識になってしまいます。


 そうしたことにならないように、私たちが次の世代に伝えるべき立場にあるのでしょうが、これだけマナー違反が見受けられるようになってしまえば、いつかそれはマナー違反にならなくなるのかもしれません。
 それもゴルフが大衆化するという流れの中での避けて通れない部分であり、テレビが後方から映すという功罪の表れでもあるのです。


 新規則での規定でも「他人の気を散らさない」ことがプレーヤーに求められているため、「気が散る」と思えばそう思っている本人が「お願い」してそうならないように対応してもらうというやり方が、現在の潮流なのかもしれません。