三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

ゴルフ上達に記憶力は必須な能力

 しつこいようですが、先の「他人のスコアを付けるのは義務ではない」という記事に関連する話題です。


 根本的な問題は「義務」と勘違いしているところですが、遠因には記憶力の問題もあるようです。


 90切り100切りが出来ないゴルファーと話して感じるのは、自分のプレーさえ覚えていないということで、先日の記事でも書いた同伴者の過少申告の件でも、「私が13番ホールは2オンした?」と尋ねても「どこでしたっけ?」とその同伴者はピンときませんでした。
 その同伴者はHDCP13ほどですが、そのレベルであってもホールの特徴を説明しなければ自分のプレーを思い出せないものです。


 もちろん、人それぞれなので、大きな数字のHDCPを持ったゴルファーでも、記憶力が抜群という方もいるし、いわゆる「シングル」HDCP者でも覚えていない人がいるかもしれませんが、HDCPが少ないゴルファーほど自分のプレーはもちろん、同伴者のプレーを記憶していることは、理由は後述しますがHDCPを減らすための必要条件なのです。


 私がレッスンを受けていた初心者の頃、ラウンドレッスンで同じレッスン生とコーチの計4人でラウンドした際に、昼食休憩時にコーチから「〇番ホールのセカンドは何番を使った?」と尋ねられ、どの場面か全く覚えていなかったことを思い出します。


 その時、コーチからスコアカードに自分が使ったクラブと結果を後で見て分かるように記号などを使ってメモっておくようにと注意されました。
 「あなたは他人のスコアを気にするようなレベルにはまだないから、自分のプレーをメモするように」と言われたのです。


 それ以来、スコアカードに例えば1番パー4だったら「右ラフ・7I・右ラフ・52・6m・右抜・⑤2」と書くようにしました。


 これを後で見ると、パー3以外はほぼドライバー使用で、ドライバー以外は5W やUTなどと書くので、このホールはドライバー使用だと分かります。
 1番パー4のティーショットでドライバーを使った結果、右ラフに入り、そこから7Iでグリーンを狙ったけど、やはり右ラフに外したという意味になります。
 52度ウエッジでアプローチした結果、カップから6mの距離にオンし、パーパットは右を抜けたオーバーで、返しを入れて2パットのボギーだったと分かります。


 スコアの数字に〇(丸)を付けているのは、一目でオーバー数を把握するためで、ダボなら◎(二重丸)で囲み、バーディーなら▢(四角)で囲みます。


 こうして書いておくと、後で見たときに、自分のミスに一定の傾向があることに気が付くことができます。
 私は、アイアンは8番まではそう曲がるミスは少ないのですが、7番と6番はスライスすることが多く、ショットの目標はやや左目にするようにしているのは、この傾向を踏まえたものです。


 以前は、なぜコーチは一緒に回っている他の3人のプレーを覚えているのか不思議でしたが、自分のプレーをそのホール後にメモっておくようになると記憶力が付いてきて、そのうちにメモらなくても記憶できるようになりました。
 そうなると、自然に同伴者のプレーも記憶できるようになっていたのです。


 同伴者のプレーを記憶するといっても、いちいち覚えておくのではなく、見た光景を後からビデオテープを巻き戻すように再現できるので、記憶ではなく脳への記録といったほうがよいのかもしれません。
 もちろん、自分から見えていない部分での同伴者のプレーは記録できないのですが、見えないプレーがあったとしても、その同伴者のスコアがパーなのかボギーなのかダボなのか感覚的に分かるようになりました。


 同伴者の1人がカップインして、当人の申告がある前に、「ナイスパー!」と言うほうが本人は気持ちよいと思うはずで、反対に誰も「ナイスパー!」と言ってくれないと寂しいのではないでしょうか。
 そうしたちょっとした心遣いで、同伴者のゴルフが上向くこともあり、いわゆる「乗せる」効果があるのです。
 ゴルフは同伴者との共同作業という一面もあり、お互いがそれぞれを乗せることができれば皆のスコアが良くなります。 


 このようにゴルフは記憶力が重要なゲームです。左足下がりのライから、どんなミスが出やすいか知っておくと、それに対処したプレーを選択できます。
 漠然と同じようにスイングすれば、期待したものと違う結果になり、それが俗にミスと言われるものです。


 つまり、ローハンディ者になるためには、記憶力は必須であり、自分のプレーを覚えておくことと併せ、他人のプレーも覚えているのは、そのプレーヤーが次のプレーで犯しやすいミスの傾向を予測して結果に照らし合わせることで、いわゆる自分の「引き出し」の中への情報を自分のプレー以外でも蓄積できるからで、その結果として、わざわざ申告されなくてもその同伴者のスコアは分かってしまいます。


 アベレージゴルファーの中には、自分が同伴者のスコアを把握できないため、他人も分かるはずはないと思うのか、スコアを故意に過少申告する人もいますが、同組にローハンディー者がいれば間違いなくすぐに分かってしまうものです。


 話は脱線しますが、囲碁や将棋の世界では、プロ棋士やアマでも高段者は自分の対局を最初から最後まで再現できることは当たり前です。
 私は囲碁はしませんが、以前に将棋を少々たしなんでいました。


 将棋では感想戦といって、勝負がついた後に最初に戻って駒を動かし、ターニングポイントの局面で、違う手を指した場合の是非を検討したりします。


 最初は、なぜあんなに記憶出来るのかと不思議でしたが、将棋というゲームには記憶力が必須で、過去の棋譜を覚えて勝ち筋を知っておくのは重要なのです。(序盤は「定跡」という一定の駒組手順があるので、ある程度は定型化されています)
 そのため、級から段という上達に従って記憶力は付くようになってきます、というか付かなければ上達は見込めません。


 将棋などの記憶力の量に比べると、ゴルフのプレーを覚えるのはそう大変なことでなく、わずかな量だと言えます。
 よく同伴者が「またやっちゃった!」という悔やむ言葉を発しますが、「また」というくらいなら、それに対処したプレーをすればと思ってしまいますが、ゴルフはそう思っていても、同じようにミスするから楽しいのであって、マシンのようにミスをしないゴルフだったら、誰もこれだけ熱中することはないはずです。


 私はCS放送でプロ麻雀も良く観戦します。対局後に、解説者が半荘の中の一場面での打牌の理由などを尋ねても、さすがプロというべき答えが返ってきます。
 「本来出てくるはずの〇牌の姿が見えなかったので、上家の〇プロが暗刻か対子で持っていると考え、こちらの選択はしませんでした」というように自分の考えをすぐに答えることができるのです。
 これもプロだから当然にすべての局面を記憶しているのでしょう。ということは、記憶力はプロとしての最低条件なのだと思われます。


 スポーツには頭脳は必要ないという意見もあり、いわゆる「野球〇〇」といった言葉もありますが、これはほぼ団体スポーツに当てはまることであり、作戦は監督などが決め、練習段階で選手は決めごとを繰り返し練習することで、身体が自然に反応するようにレベルに達しているからこそです。
 反対に、個人競技は自分自身で試合中は考えて作戦変更するケースも多く、「考える」という能力は必須になります。


 ゴルフも個人競技であり、記憶力という能力は最低条件なのです。記憶力をベースにして、次のプレーでのクラブ選択や狙う目標を「考える」必要があり、これらをショット前のルーティンの中で一瞬のうちに判断決定しなければならないのです。


 私は「アプローチの達人」とあだ名した71歳のゴルファーとよく一緒にラウンドします。
 達人は元シングルさんですが、同伴者に「私はスコアは付けないので、私のスコアは気にしないでください」とスタート時に必ず言われます。
 それでも、終わったら私のスコアなどはきちんと頭の中で把握されていて「最後のボギーが無ければ後半はパープレーだったね!」と言われたりします。
 「5下」のHDCP者であれば、間違いなく、こうした記憶力があるものであり、だからこそ「5下」になれるものです。


 アベレージゴルファーのレベルであれば、まず自分のプレーを思い出せるようにメモるほうが、他人のスコアをわざわざ聞き出してスコアカードに付けるよりよっほど有効です。
 そして、初心者に「他人のスコアを付けるのはマナー」などといった間違ったことを植え付けない方が、結果的にはその人のためになるのです。
 なぜなら「マナー」を教えたはずが「マナー」どころか他人への思いやりのないゴルファーになってしまう恐れがあるのですから。