三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

社長杯後半で逆転して優勝する

後半のスタート1番では相手は既にアプローチの練習をされていました。前半は好調なショットでアプローチする機会はあまりなく、イップスの片鱗は見えませんでした。


実はこの方とは、昨年から何度もご一緒していて、お互いに認め合っている仲です。
「ゆーぽんさんのハンディーは多すぎるから」といつも言われますが、「今日の前半のゴルフをされるなら手も足も出ませんよ。」と答えると「逆転のゆーぽんさんだから」と言ってくれ、そういえば1回戦も2回戦も苦しいところから17番で逆転したなと思い出し、どうにか17番まで勝負がもつれたらどうにかなるかもと思っていました。


今日は相手とのセカンドやグリーン上で球が同じような距離や方向にあり、ドライバーの飛距離はほぼ一緒なので、かなりその点は気楽でした。
ただ相手のショットは切れがあるため、そう大きなミスショットはなく、私が曲げさえしなければ互角に戦えると思うようにしました。


1番はお互いがパーオンをできず3mほどのパーパットもどちらも決めきれずに分けでした。
今日の赤水のグリーンはいつもより固めで、その分転がりも良く、積極的に打って3パットする危険性を回避するため、分けが予想される場合はお互い寄せるパットしか打たなかったのです。


そのことは途中でも「やはり3パットするくらいなら安全に寄せに行きますよね。」と話しかけたら「マッチプレーは相手を見ながらのプレーになるから、無難な選択をしがちですよね。」と返事があり、相手もまず「取られない」優先という考えのようでした。


2番パー4はお互い同じような手前からアプローチで寄せ、私は相手の1m弱にOKを出しましたが、私は1mを入れて分けでした。
この辺りは、1mのパットはプレッシャーはありますが、わざとコンシードすると後々大事なところで痺れることになるため、打たせてもらって助かりました。


3番パー3は相手のショットがバンカーのアゴに突き刺さり、それを見て手前に外してボギー狙いという姑息な手段を使いましたが、見事に脱出され、結果的に2人ともボギーという分けになりました。
ただ分けなら御の字で、ハンディーホール2つをしっかり取るというゲームプランにしていたため、とにかくこれ以上は引き離されないようにという意識でいました。


そのハンディーホールの最初が4番パー5です。ここは相手が珍しくミスショットされ、手前の枝に
当たって距離が出ません。
私は左だけは行かせないとグリーンからは遠くなる右目に打ち、結果的には私が3オンし、相手は4オンになって私のバーディーパットがカップ手前で止まってコンシードされ1ダウンに戻しました。


5番パー4はお互い同じようなフェアウェーセンターから、極端な打ち上げを相手はショートし、私はオーバーするピンチでした。
私のアプローチは下りを止まらず、4mも転げましたが、なんと相手はアプローチをざっくり気味に手前にショートでした。
ここも相手が先にOKの位置まで寄せられ、私も打ちすぎて下りを残さないよう手前に寄せてOKを貰い分けになりました。
このホールは寄せられて負けを覚悟しましたが、あっという間にアプローチを打たれ、見ていなかったのですが、打ち急ぎこそイップスの特徴で、怖いから早く抜け出したいと思う心理が手に取るように分かりました。


6番パー4はまたハンディホールです。要所要所で上手くハンディーホールが回ってくるのが楽で、相手は「この難しいホールでハンディホールというのは大変だ!」と嘆かれていました。
ここはボギーオンの2パットとして、相手の同じボギーオンしてのパーパットが決まらずに、これでイーブンに戻し、追う者ががぜん有利になってくるはずでした。


7番パー3は相手のスプーンでのショットがピン方向に飛んで行きます。私は235yあるので最初から無理せずに刻んでボギーオン狙いですが、その姑息な戦法をパットミスで台無しにしています。
相手のショットは飛びすぎて奥のカラーまで行き、私が上手くアプローチで上りの1m強に付けました。
相手はパターで寄せますが、傾斜で止まらずに私の球よりわずかに遠くに止まります。
このパーパットを先にねじ込まれ、プレッシャーのかかった私のパーパットは右に外してしまい、痛恨のボギーになり1ダウンに戻りました。
ここは分けを想定していたのに、計算外の結果になり、やはりダメかもと弱気になりました。


8番パー4はお互いフェアウェーから同じような左に外し、「こんなに付き合わなくても良いのに、、」とぼやきながらのアプローチはお互い3mほどの横からになり、先に相手が同じラインから外しましたが、無理に狙わずに寄せて分けにしました。
このホールは2段グリーンの傾斜下の位置にカップがあり、左から膨らませると大きく転がるため、届かないタッチで手前で切れる方が安全なのです。


9番パー5で運命の分かれ目になるショットが出ます。相手は右の木の方向で、私も同じような方角で20yほど先にありました。
相手のセカンドは左目に飛び、距離を残したように見えました。
私は23度UTでフェアウェーセンターを狙ってのショットが、大きく吹けてしまい、危うくOBの傾斜に転がる寸前で止まります。
相手の3打目は距離がありましたが、切れのあるショットでグリーン手前のカラー近くのラフまで飛び、これは寄せ1のパーは取られると覚悟しました。


私の球は前方右側に木が立ちふさがり、左足上がりのラフにあります。スライスをかけないとグリーン方向には打てず、残り120yを7Iだったら簡単にスライスできるけど距離が短すぎると思い、8Iでスライスをかけることにしました。
上手くかかるか心配でしたが、見事にスライスボールでグリーン方向に曲がり、ピンの奥5mにナイスオンでした。
たぶん相手は、まさか乗せてくるとは思わなかったようで、動揺してアプローチをミスり、先に打ったパーパットも決まらず、私が下りを安全に寄せてOKを貰い、またイーブンに戻しました。


この9番が勝負の分岐点になったようです。
8Iでのスライスはかなり難しかったのですが、幸い左足上がりでスライスが出やすいライだったことも幸いし、相手に心理的ショックを与えることができました。


これでイーブンとまた降りだしに戻り、17番まで行けるとどうにかなるかもしれないぞと自分自身を激励します。
ハンディーホールが2つあり、12番はどうにか取れそうなので、とにかくそれ以外のホールは分けることに専念しました。
相手がアプローチイップスの症状が出始めたのも、気楽になれた理由です。


10番パー4は私は右の林に打ち込み、相手は左のラフに入れます。ここはグリーン左手前が池なので、お互い残り距離が200yあり相手は無理をしないはずと思って、刻むことにしました。
しかし相手はグリーンを狙ったようでしたが、ミスショットで池の手前のラフでした。「池に入ったと思った。」と相手の方が言われたので「手前のラフにありますよ!」と教え、PWで残り100yをピンの右5mにオンし、相手はピンの左3mにオンでした。


先ほど同じような場所からパーパットを打って外していたので、軽く上ってカップ手前からフックで下るというラインが分かっていて、上手く膨らませたら見事にカップインし、ガッツポーズが無意識に出てしまいます。
相手は3mを打った瞬間弱いと分かるタッチでカップ手前で切れるボギーで、ここでこの試合初めての1アップになりました。
9番からの幸運が続いているようです。


11番パー3は私は最初から6Iで右の花道方向に刻むショットでしたが、相手の方はダウンしたためかグリーンを狙った見事なショットを打たれます。
しかしいったんは乗った球が止まらずに奥に消えたので、アプローチ勝負と気合をいれました。
ここのグリーンは左右に細長く、奥行きが狭いため、190yほどを長めのクラブ選択ではほぼ止まらないことが多く、場合によっては奥のバンカーまで転げ落ちるのです。
幸い、相手の方の球はラフに止まっていて、私が最初にアプローチをしましたが、寄せきれずに2mもオーバーし、「ヤバい!」と観念しました。


相手のアプローチはパターを使われ、寄るかに見えましたが今日のグリーンは固めで思ったより転がってしまい、私と同じような距離が残ります。
私が最初にパーパットを打ち、これも真ん中から入れ、相手にプレッシャーを与えると相手の方はパーパットを外してしまい、2アップに変わります。
1打目の状況でも2打目が終わっての状況でも、相手有利でしたが、10番同様に先に沈めるとプレッシャーが大きくなり、普段なら決めれるものが決めれなくなるのがマッチプレーなのです。


こうなると続く12番パー4は469yもある平坦で真っすぐなロングホール並みのミドルなので、ボギーでも勝てるホールになり、相手にとっては嫌な展開になる状況です。
私の1打目も2打目もフェアウェーで、3打目でピンの手前3mに寄せ、相手の方は2打目を左のラフに打ち込み、3打目オンでも私の球より遠くにありました。
「入れないと負け」と呟きながらの相手のパーパットは強めに打たれ、カップを2mほどオーバーし、私の球をコンシードされ、3アップに変わります。


後半に入って3連続のアップと流れは完全にこちらに来ましたが、油断するといけない典型が次のホールになりました。


13番パー4は、私のセカンドの球はグリーン手前のラフで、相手は左のバンカーに打ち込んでしまいます。
ここも取れるかもと、私のほうが若干遠かったのでUTで転がして1mに付け、相手のバンカーショットを待ちました。
砂が少ないライから、見事にエッジに落とし、傾斜でピンに寄せられます。「さすが!」と内心思いましたが、ここは分けでもいいと思い直します。
相手が先にパーパットを打たれ、見事に砂1のパーとし、私の1mは上手くヒットできずになんと左に外してしまい、2アップに変わりました。


安易に取れるかもと油断したため、隙を見せたのが良くなかったと反省しました。相手はどこからでも寄せてくると思っていないと、油断しては流れが変わってしまいます。


しかし続く14番パー5はハンディーホールになるのが私にとってはラッキーで、相手にとっては辛いところです。
相手の方はドライバーを握らず、スプーンでのショットでした。それを見て私もドライバーから19度UTに持ち替えます。
このホールは左曲がりですが、引っ掛けるとずっとOBが続いていて、まっすぐ突き抜けると崖下に落ちるトラブルになるのですが、バックティーからはまず突き抜ける恐れはありません。
しかし、右目に出てしまうと崖が近くなるため、ティーショットに気を遣うホールです。


「自分のクラブ選択を見て、変えたでしょ?」とティーショット後に尋ねられ、「真似しましたw」と答えました。
結局、この選択が功を奏し、お互いパーセーブでしたがハンディーのおかげで3アップに戻します。
相手の方に気の毒な感じがしますが、こればかりはそういうルールで戦っているので仕方ないのです。


15番パー4への移動中、「次はアップドーミーですね?」と相手の方が呟かれます。この辺りからは私はもう頷くだけにして、無口になってしまいます。


15番パー4は相手の方がそのままオナーで、切れの良いショットをフェアウェーに打たれ、私のティーショットは左にやや引っ掛けて残り200yのラフでした。
先にUTでピン方向に飛びましたが、やや短く手前のラフでした。
相手の方のセカンドは左方向に飛び、グリーンの左にオンでしたが、ここのグリーンにはセンターに小さなコブがあり、寄せるのは難しそうです。


しかし先にパターで1.5mまで寄せられ、次に私のアプローチになりました。
ここも23度UTで転がして寄せ、OKを貰い、相手のパット待ちでしたが、これを見事に沈め分けにして、次に16番がドーミーホールになります。


昨年も15番からドーミーホールになったのに、15難16番と続けて取られ、17番で私がバーディーを獲って決着が付きましたが、今年も17番まで行きたいと自分で思うことができました。


16番パー3はアゲインストでもあり、私は最初からグリーンに届かないクラブで打つことにしています。
先に相手の方が左バンカーに入れ、私はそのバンカーに届かないよう、右のOBだけは避けて左目に23度UTで打ち、予定どおりバンカー手前のラフでした。
先に私のアプローチが左から右への傾斜で5mほど転がり、相手の方の難しいと思ったバンカーショットは、見事にエッジでワンクッションさせるものでしたが、やはり傾斜で4mほど転がります。
私のパーパットはカップ手前で左に切れてOKを貰い、相手の方のパーパットは本人は外したと思ったらしく、「握手しようと思った」と言いましたが、最後に右からコロリとカップに落ちて、見事なパーセーブでした。


このとき、相手のミスを期待していたら、かなり動揺したのかもしれませんが、17番に進みたかったので「ナイスパー!」と心から言うことができました。
これで2アップに変わりましたが、まだドーミーホールが続きます。


17番パー4のティーインググランドで、先に相手の方がやや引っ掛けたショットをされ、「このホールは自分にとってはラッキーホールだから、自信をもって打とう!」と自分に喝を入れました。
ドライバーショットは、当たりましたがフェアウェー中央から左目だったので傾斜で左ラフに転がっていました。
相手の方は距離が残りウッドで打たれましたが、これも切れのあるショットでピン方向に飛んでいます。


ここでバーディーを獲られたら仕方ないと思い、とりあえずグリーンだけは外さないようにと7Iでショットしましたが、軽い当たりになります。
グリーン面が見えないため、カートでどうなったか気になりながら近づくと、2段グリーンの傾斜の手前に球が1個あり、もう一つの球は奥のラフに見えました。
相手の方のショットが大きかったようです。


相手の方のアプローチは、やはりイップスの影響はトップ気味になり、2段グリーンの傾斜を下まで転がって来て、ほとんど私の球と同じ位置まで来てしまいました。
私の球の方が少しだけ遠かったので、寄せれば勝ちと念じながらラインを読みます。
幸い、先ほども同様な場所から打ってショート目だったので、今度は少し強めにヒットしたら、カップ横10センチに止まり、相手の方が帽子を脱いで握手を求められました。


一瞬、何が起こったか分からなかったのですが、ドーミーホールで私がパーセーブしたため、相手の方はパーパットを打たずに敗北を認めたのでした。


なんだかエイプリルフールで騙されているような感覚でしたが、クラブハウスに戻り、みんなから「おめでとう!」と言われ、やっと「勝てたんだ」という感覚が湧いてきました。


前半は一時4ダウンまで行き、今年も決勝で負けるんだと観念しかけましたが、勝ち負けより「良いゴルフ」をしようと考えを変え、負けても悔いのないゴルフになるよう考えを変えたのが良かったようです。


これで「キャプテン杯」と言っていた17年前に勝って以来、2度目の優勝になりますが、前年に決勝で敗れた経験から、相手のショットやパットは入るものとして待つという意識を持っていたのが良かったようです。
相手の好プレーに動揺せずにすんだことが結果的に良く、併せて負けても良いプレーをしたいと思えたことも諦めなかった要因です。


とりあえず、終わってホッとしています。