三重苦ゴルファーの日記

69歳になった飛ばない・寄らない・入らないの三重苦を持つシニアゴルファーの日記です。

ルールに使われる言葉

あるブログにローカルルールについての記述がありました。
日本語は主語を省略する場合もあり、なかなか解釈が難しい部分があります。


ただ基本を押さえていると、おのずと意味が分かってくるのも事実で、ゴルフのスイングと同じで「基本が大事」なのです。


以前、コンペで同伴者からクレームを付けられた経験があります。その同伴者は、競技ゴルフにも出るような方でしたが、思いがけないクレームに面食らってしまいました。


そのクレームを付けられた状況は、私の球が距離表示杭のすぐ手前に止まっていて、グリーンを狙うためには距離表示杭がスイングの妨げになっていたのです。
そのゴルフ場のローカルルールでは、距離表示杭は「動かせない障害物」と規定されていてスコアカードの裏面にもそう記載されています。


この「動かせない」という意味をクレームを付けた同伴者は「(球を)動かせない」と間違って解釈していたようです。


日本語的には「障害物」が「動かせない」という意味であり、どこにも「球が」とは書いてありませんが、日本語は省略表記がよくあるため、「球が」をいう文言が省略してあると勘違いしたようです。
このときは「救済は受けられない」と執拗なクレームをホールアウトまで続けられましたが、無視して自分が正しいと思う措置をして、ホールアウト後に委員会に報告しました。


ゴルフの基本的なルールは「あるがままに」ということがまず第一にあります。「あるがままに」プレーする義務がプレーヤにあるのですが、どうしても「あるがままに」プレーできない場合も予想され、その状況での措置をゴルフ規則(ゼネラルルール)で様々な状況に合わせて定めてあります。


打ち込んだら脱出できない藪の中に球がある場合、「あるがままに」プレーしないといけないなら、何回打っても脱出できないことも予想され、そのゴルファーは悲惨な状況に置かれてしまいます。


また池の中に打ち込んだ場合、その池の中からプレーしなければならないとしたら、場合によっては命を落とす羽目になる危険も予想されます。


つまり「あるがままに」プレーすることは基本ですが、そうできない場合はゼネラルルールで、OB区域を定め、1打付加して打ち直しを認めるという、いわば「救済」措置を定めているのです。


池には入った場合も、1打を付加してウォーターハザードの措置をすればよいという「救済」なのです。


ゴルフ場は元々は自然の環境の中に作られていますが、その自然の中に人工的に作られているものも(例えばカート道路や排水溝など)多いため、コース内の人工物の近くに球が行ってしまうケースも数多くあります。


その場合、人工物がスイングの邪魔になる場合は、「救済」を受けることができるとゼネラルルールで定めてあります。
自然物の木がスイングの邪魔になっても「救済」は受けられませんが、元々はそこにあるはずにない人工物の場合は「救済」が受けられるというのが、基本的な考え方なのです。


ただ、ゴルフ場によってさまざまな状況があり、一般的なゼネラルルールでは細かいところまで規定できないため、ゼネラルルールに抵触しない範囲で各ゴルフ場がルールを定めてよいことになっています。
つまり、これがローカルルールなのです。


一般的な「救済」では「飛球線上の障害物」には適用されませんが、ローカルルールで定めるケースも例外的にはあるようです。
多いのがプロの試合でテレビの中継塔など臨時に仮設された人工物であり、ときどきテレビ中継で「救済」を受ける場面が映りますが、アマチュアが飛球線上の障害物で「救済」を受けるケースは、上空にある高圧線に当たった場合など限られているようで、それもローカルルールに明記してある場合のみです。


ルールはゼネラルルールをまず知っておいて、その上でローカルルールを解釈する必要があります。


「ウォーターハザード内のネットは動かせない障害物とするが、救済は受けられない。」とあるのは、人工物だからネットを動かしてプレーできるという解釈を排除するためであり、「動かせない障害物」だからという理由により球を動かすという「救済」もできないということです。


この場合、球はあるがままにプレーするかウォーターハザードの処置を取るしかありません。


「バンカー内の小石は取り除ける」というローカルルールもゼネラルルールには書いてありませんが、「ローカルルールで定めることを推奨する」旨の記述があるため、ゴルフ場のローカルルールではいろんなゴルフ場で規定されています。


カート道路は、ゼネラルルールでは「救済を受けることができる」人工物なので、そのままプレーすることも可能ですが、カート道路保護のためや誘導カートのための電線等が埋め込まれている場合、損傷を避けるためローカルルールで「救済を受けなければならない。この規定の違反は2打罰」などと定めてあることが多いのです。


「受けることができる」とある場合はプレーヤーの意思が尊重され、「受けなければならない」とあればプレーヤーの意思に関係なく、「救済」を強要され違反すれば罰が付くことになります。


動かせない障害物から「救済」を受ける基本的な方法は、現にスイング(スタンスも含む)の支障となる人工物の影響のない、ホールに近づかない1点(ニアレストポイント)をまず定め、そこからホールに近づかないOB区域外やハザード以外の1クラブレングス内の場所にドロップすることになります。


このニアレストポイントという概念をしっかり認識しておく必要があり、「救済」を受ける状況ではよく使われる表現です。
現にスイングの支障となっている「動かせない障害物」などの影響を受けないでホールに近づかない、まさしく「ニアレスト=一番近い」な場所なのですが、ネット越しに求めたりすることはできません。


ルール上では、そのニアレストポイントから1クラブレングス内にドロップするとなっていますが、そのドロップ地点もネットの向こう側などは認められず、場合によってはフェアウェーになる場合もありますが、反対に前の木が邪魔でスイングできないケースもあります。


つまり「救済」を受けるかどうかをプレーヤーに任されている場合は、「救済」を受けた結果、どうなるかを事前にしっかり考えておくことも必要で、場合によっては「救済」を受けない選択もあるはずです。


いったん、「救済」をうけて措置してしまえば、その結果が悪くて「やっぱり「救済」は受けずに元の状態でプレーしたい」と思っても、それは戻せません。


これもよくある勘違いですが「救済」とあるのを「次のプレーが保証される=助けてくれる」というように誤解される場合も多いのです。
「救済」の結果、より状況が悪くなる場合も予想されますが、そのとき「救済を受けなければならない」とあれば受け入れるしかなく、この部分は大きな違いになります。


次のゴルフ規則の改正で、これまでの常識が覆されるようなものもあるようです。根底に流れるものは、プレーのスピードアップのようで、やはり1ラウンドに何時間もかかるようだとテレビ中継などでも難しくなり、ひいてはゴルフ人気にかかわると考えているのかもしれません。


また一般のゴルファーにとっても、一日がかりのラウンドになるより、スムースに3時間ほどで終わるほうが理想的で、誰でもがやってみようと思うことで身近なスポーツにしたいという関係者の考えのようです。


ただ、この方向が良いのか悪いのか微妙ではありますが、それが時代が求めるものであれば受け入れるしかないのが、規則を守るゴルファーたる者の義務かなと考えています。